
串カツが食べたいとなった時、人はどこに行けば良いのか。某全国チェーンに行く手はあるが、あれは一口串カツであり、我が望みのスタンダード串カツとは程遠い。では、トンカツ屋に行けばメニューに串カツがあるかというと、経験的にはギャンブルに近い当たり外れがあるものだ。
町場の小体なトンカツ屋では、とんかつにはロースとヒレの選択ができることが多い。しかし、串カツを出定番でだすところは少ないようだ。
大衆食堂的な町の定食屋ではかなり高い確率で串カツがメニューに存在する。これは実にありがたいことだが、そもそも大衆食堂自体が消滅してかかっている。食べ物屋としては絶滅危惧種だ。
チェーン居酒屋でも最近はカツ自体がメニューから落とされていることが多く、揚げ物で残っているのはコロッケ(それもクリームコロッケ)かハムカツ・メンチカツになってしまう。つまり、「串カツを食べたい気分」になると、ほぼほぼ串カツ探索難民となるのは間違いない。食の道としては狭く険しい一本道になる。
だから札幌の都心部外れにある居酒屋では、席につくと同時に串カツを頼む。一応、ソースと醤油を選べる。気分によって醤油にしてみたりもするが、やはり王道はソースをたっぷりかけて、熱々のうちにジュワッという油を感じながら、ハフハフと食べるのがよろしい。
この日は串カツと湯豆腐で決めてみた。遅めの昼飯だったが、それくらいの量がちょうど良い感じだ。微妙なのは、少し腹が減っている時はこの串カツを3本食べたいのだが、2皿頼むと一本余る。その余りを同行者に押し付けられると良いのだが、ちょっと気を使う相手だと、それもできない。無理やり4本食べると、もう何も食べたくなくなる。悩ましいのだ。できれば串カツは一串単位で好きな数だけ注文できるようにしてくれないものかと、密かに贅沢な望みを抱いているのだ。串カツに伴う悩みは尽きないなあ。