全く知らなかったのだが、少年マガジンに連載されたこのお話は大ヒット作だった。元・不良少年がタイムリープして、中学時代の彼女と仲間を救う物語といってしまえばそれまでなのだが。少年誌では連綿と続く不良少年、暴走族ネタはやはり時代を超えて鉄板人気のストーリーらしい。おまけに主人公たちは中学生設定なので、バイクに乗っていいはずがない。(ほぼ無免許運転だろうに)そのためなのか、登場するバイクはCB250という可愛らしさだし、大型バイク自慢の話もない。
殴り合いの喧嘩にこだわるさまざまな「難読漢字名のチーム」があちこちでぶつかり合い、泣き虫の不良である主人公は最後まで泣き虫のまま右往左往するお話だ。連載時期を見れば、平成の最後から令和にかけて。その間にコロナの時期を挟みながらの長編だ。映画化もされアニメにもなったメディア一立体化大成功なブロックバスターでもあるようだ。
たまたま覚えていた映画の題名を、かの米国ヒーローアクション映画、アベンジャーズと勘違いしていた。だから和製マーベルのパクリ話だと思い込んでいたのだ。その上に設定を、SFとヤンキーの合体ものみたいな錯覚までしていた。間違いだらけの記憶だったが唐突に原作コミックを読み始めて、おやまあと自分お記憶のいい加減さに呆れつつ、久しぶりに一気読みをしてしまった。
これは湘南〇〇シリーズとか、特攻の〇〇から連綿とつながる正統不良ストーリーであり、それが現代的アレンジをされたものだった。今ではほぼ存在をなくした暴走族という集団へのオマージュ作品だろうか。同じ描き手が青年誌に向けた作品では、新宿で働く?スカウトの話だったが、それの少年誌向けアップデートみたいなものだろう。
少年マガジン連載だけに、エロなし、コミカルな台詞回し、話を引き摺りすぎない早い展開という、実に読みやすいものに仕上がっていて、中学生が大人以上に大人な台詞を喋るのを諦めれば、大人も楽しめる良質なエンタテイメントに仕上がっている。不良仲間の「絆」物語でもあり、全体にはダークヒーロー的な屈折もあるが、折れない主人公の成長を楽しむのが良い。最後は必ずハッピーエンドになると信じて読み進められる傑作だった。
某ジャンプのワン○ースのような、話の引っ張り回しすぎ(出版社営業の都合だな)に飽き飽きした方には、このコンパクトで展開の早いお話がおすすめだ。
最後の最後をゆっくりと楽しむために30巻以上読み続ける価値はあると思うよ。
