街を歩く

滅びの国の征服者 という中年男の物語

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サラリーマン転生ものの話を続けるとして、最近見つけた傑作がこれだ。設定を含めてかなり骨太なストーリーになっている。背景世界も、おそらく現代文明が滅びた後に数千年から最長で1万年程度の後に再建された世界のようだ。人類が2種類存在し、現生人類の後継が大半で、少数派として長耳の人類亜種(おそらく遺伝子改変種)が北欧地域に追いやられながら生き延びているという感じだ。
そこに赤ん坊として転生したサラリーマン(引退済みか)が転生し、現世知識を活用して文明加速と新大陸への疎開を目指す。
ここまでをコミックで読んだのだが、当然ながらラノベの原作があり、その元は小説家になろうの任期作だった。ストーリー上でアニメ化を妨げる要素もなく、近いうちに制作されるだろうと思う。発行元がオーバーラップ社というちょっと変わった編集方針の出版社だから、主人公の性格は多少捻じ曲がっているし、世界を斜めから見るタイプだ。ジャンプ的な努力と友情と根性路線ではなく、マガジン的な予定調和的に活動し葛藤をあまり感じないタイプの主人公が活躍する話でもない。
どちらかというと転生前に不遇だったサラリーマンが、少年の肉体に宿りながらも中年の知識を保持しつつ、ゆっくりと肉体年齢にあった若い精神状態の戻るという、変形の輪廻転生にようる救いの物語だ。濁った中年サラリーマンの精神が浄化され若返るというのは、読者層の願望そのものだろう。
設定がよくで切れいるようで、物語の破綻も見当たらない。ばら撒きすぎて回収できない伏線というお粗末なものも見当たらない。おそらく原作は、大人が読める秀作なのではないかと想像できる。例えばA・マキャフリーのドラゴンライダーシリーズのようなものではないか。(あれはドラゴンの出現するファンタジー世界の裏側に、遺伝子工学と恒星間航行世界を支える科学技術という設定がある素晴らしい作品なのだが)

大人向けラノベ?という変な言い方をしたくなる良作であります。コミック全巻読んだので小説版に手を染めてみようか。

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