
本店と書いてある看板だが、実はこれは札幌の本店という意味だろうと思う。この蕎麦屋にはいくつかの支店があるが、それの総本店?は釧路にある、とても風格のある料亭みたいな蕎麦屋だ。学生時代に一度行ったくらいなので、もはや随分と霞んだ記憶だが、個人的には神田の藪とか赤坂の砂場よりもしっくり来る。
この「本店」は札幌の本店なのだろう。すすきののすぐ脇にある飲み屋に取り囲まれた一角で、ランチタイムが意外と空いている。夕方早い時間も空いている。
だから、午後の一杯やる場所として重宝しているのだ。そばは美味い。つまみも美味い。ただ、いちばんのお気に入りは品書きの文字だ。

このメニューのラインナップの見事さよといつも感心する。〇〇そばみたいなものはほとんどない。蕎麦屋の変化球メニューが全力でならんでいる。すごいな。
最近の原材料高騰のせいか、お値段が切り貼りになっているのがご愛嬌だ。平成時代は、実にお手軽な値段だったのだがなあ。まあ、それは仕方がないとして……………

店内にかかる品書きは、これまた面白い。出船入船セットなど読んだだけでは何が出てくるのかさっぱりわからない。いわゆる街の蕎麦屋のように丼を含めて、あれこれたくさんのメニューが乱雑に入り込んではない。蕎麦屋としてストロングスタイルだと思う。
それぞれのメニューについて説明書を読むとなるほどなと思うのだが、店内にかかる品書きの魅力的なこと。あげだしとはなんだ? ごんぼう天(そばと付け足してある)だいけが説明過多だ。あれこれ想像するのが実に楽しい。
長く続いた蕎麦屋の風格というのは、こんなところに出ているのだろうと思う。そばが出てくるまで、そんなことを感じながら店内をあれこれ見回してしまう。良い蕎麦屋の楽しみはそばと酒だけではないのだな。