街を歩く

渋谷の風景 続き

渋谷駅前、旧東急百貨店東横店の解体工事中に突如として現れた広告スペースは、おそらく東京でも珍しい巨大広告が設置される「名所」になった。これに匹敵するのは、新宿駅地下にある東西自由通路を全面占拠した100mをこす壁面広告だろう。
この渋谷の巨大看板の月間使用料金は1000万円をはるかに超えると想像できる。とてつもなく高額なはずなのだが、かの渋谷スクランブル交差点を渡る100万人単位の人の目に触れるのだから、その広告効果は絶大だ。
そして、今の日本経済界でこの手の高額広告ボードを使える業種は限られる。ちょっと昔であれば有名アパレルや腕時計ブランドが、この手の広告の常連だった。今では、アニメと通信キャリアーくらいだろう。アニメはメディアミックス戦略がすっかり定着しているので、WEB投稿小説→書籍→コミック→アニメ実写映画・演劇→輸出コンテンツというヘビーローテションでコンテンツを使い回しにする。ある意味でハリウッドの映画ビジネスに匹敵するビッグビジネスに成り上がったが、日本独特の「製作委員会」制度が良い意味で機能して現代のぬえ的ビジネスモデルとして確立した。
だから、打ち出の小槌を振るようにとは言わないが、そこそこ巨額な広告投資が発生する。クールジャパンなどと言って政府がこの手のビジネスに利権を持とうとしたが、所詮、官僚の頭ではこの手のゆるふわ的ビジネス発想についていけず、今では「クールジャパン」の旗振りだった官庁がどこかすら思い出せない体たらくだ。純然たる民間施設のジブリ公園の方がよほどクールジャパン・ビジネスとしてしっかりしている。

韓流ブームは中高年女性の熱狂的な支持を受け、日韓貿易に大貢献しているが(きちんとロイヤリティーを払う日本企業のおかげだ)、それに倣って自動車関税でオタオタせずにアニメの対米輸出に政府が予算を大量投下し、経済的ではなく文化的侵略とあの野蛮で傲慢で無強要なな大統領から非難されれくらいやってみればよかろうにと思うのだがなあ。


少なくとも、この看板スペースに米国映画の誇るスターウォーズ新作の予告が載せられたとしても、日本国民の誰も反対はしないと思う。が、あの「狭量(きょうりょう)」で「偏狭(へんきょう)」で「狷介(けんかい)」な、かの米国老人みたいな言いがかりはつけたりはしないと思うよ。
ちなみに、この難しい単語三つはAIに教えてもらった「心の狭い」を表す表現です。今は人にではなくAIにものをたずねる時代なのであります。

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