
確かコロナの始まりの頃、本屋まで休業していて半年ほどまともに本が買えなくなったことがあった。その頃に売り出したのは、この大ヒット作の最終巻だったような記憶がある。つまりあの大ブームからもう5年近く経ったのだ。
政府の公式(非公式なのか)見解でコロナが災害級の大疾病から普通の病気扱いになたのがあ2023年だから、3年余りコロナ騒動に踊らされていたわけだ。
その3年となぜか記憶がリンクしている「炭治郎」の話だが、北海道と関係がある話だっただろうかと首を捻った。
札幌駅は現在新幹線入れ込みのため大規模改装中で、この手のタイアップキャンペーンの掲示物など置く場所もない。だから、これを発見したのは駅の隅っこで誰の目にも止まらないような奥まったところだった。最初は、何かのパロディーかと思ったくらいだ。
JR東日本が人気キャラと組んで関東の駅を回るスタンプラりーを毎年やっている。巨大人型ロボットやマジカルパワーを持った格闘家とか光の巨人とか年によってキャラは様々だが、鉄分の多い親と子供がまわっいる姿をよく見る。どうやら、それに模した企画らしい

個人的には、少年誌には珍しい「滅してしまうのが当然と思わせる性悪な悪役」が、まさしく消滅される物語に感動した者だ。悪は滅びるためにある、という21世紀的価値観の発露だと思うからだ。100巻を超え迷走を続ける海賊の物語は、退治された悪い奴が全員復活してくるという悪夢のような展開になっているだけに、この一切妥協なしの消滅は小気味が良い。
ゲーム世界では、悪いボスが何度も復活して退治するのに時間がかかるというのは当たり前の演出になっているが、コミックの物語でそれをやられるとうんざりする。悪の組織は壊滅された後、復活してはいけない。仮面ライダー世界では次々と新しい「悪の結社」が生み出されるが、せめてああなっていてほしい。光の巨人の世界は、どうやら平行宇宙らしく、新しく光の巨人が生まれるたびに、新しい「怪獣世界」も乱されている。科学特捜隊が第二世代や大三世代にはならないで地球防衛軍や怪獣撃退特別集団になるのと同じだ。これが昭和から平成にかけての勧善懲悪ストーリーのお約束だった。
そして令和のヒーローストリーは続編を作らず、完璧に終了する。これが良い。日本のエンタメ制作者の進化だ。明らかに生まれた時からヒーローストーリーで育った世代が、制作の責任者・統括者になり、昭和時代の制作者が抱えていた「戦争批判」「皇国史観批判」から自由になったせいだろう。
次の世代のヒット作、あるいは時代のアーキタイプは、怪獣を退治した後の死体、つまり生ゴミ処理専門家が怪獣退治のヒーローになっていく話だと思っているのだが、すっかり生ゴミ処理の話が出てこなくなって、それが寂しい。Gの名がつく巨大怪獣シリーズ、二足歩行型鯨や直立亀型では対された怪獣の処理をどうしていたのだろうか。解体し運搬する最中でも腐敗は進行するだろうし、大量に溢れ出した緑や紫の血液、体液は環境汚染物質として甚大な被害を河川に及ぼす。
怪獣退治は自衛隊の責任範囲らしいが、後処理は厚生労働省と環境省という、二大ダメ官庁の所管かあ。国土交通省も関係しそうだし。
どうやら炭治郎くんの後釜は、そんなダメダメ行政の尻拭いストーリーになりそうな気がする。となると、どれだけヒットしてもJRはタイアップしないだろうなあ。