
「肉汁」とかいてにくじゅうと読む。にくじるではない。以前働いていた会社でCMのナレーションで読み方が違うというご指摘を受け、正しく発音するように変更した経緯があり、それで記憶に残っている。
現代日本語にはこうした発音の揺らぎという現象がたくさんあるようで、一例を挙げると喧喧諤々 (けんけんがくがく)がそれとのこと。喧々轟々(ケンケンゴウゴウ)と侃侃諤諤(カンカンガクガク)とがいりまじり、「けんけんがくがく」と誤用されるようになったそうだ。
この4文字熟語の読みを正しく覚えるのも大変だが、書こうとするともっと難しい。難解文字だ。それだけに間違いが発生したのだと思われる。
参考:NHK https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/kotoba/gimon/148.html
ところが、「にくじゅう」ではなく「にくじる」と読ませることもある。武蔵野うどんのつけじるのことだ。東京都西部及び埼玉県に数多くある「むさしのうどん」店では豚肉の入った濃い味のつけ汁を「にくじる」と読んでいる。
もう一つの代表メニューがきのこ汁で、これは豚肉の汁よりあっさり目だがキノコの出汁が聞いているので味自体は強い。その日の気分で肉汁、きのこ汁を選ぶのだが、もう一つ難しいのが「カレー汁」という第3勢力が存在して、これも捨て難い味なのだ。
気の利いたサービスとして、100円追加で汁を二種類選べるという実に素晴らしいうどん店もある。

自宅から車で20分ほどのところにあるうどん屋は、地元客を中心に昼は行列ができるといいうのでピークを外して行ってみた。たまたま駐車項に空きがあってよかったのだが。食べ終わって店から出ると駐車場の空き待ちの車が何台もいた。埼玉県のうどん愛は素晴らしい。
この店も売り切れごめんなので、午後遅く空いた頃に行こうなどと考えると閉店していることもある。

さて、メニューを見てしばらく迷った。やはり、当然のようににくじる、きのこじるがある。カレー味もある。おまけに天ぷらうどんもうまそうではないか。
とりあえず初見なので絶対定番であるにくじるうどんにして、天ぷらを単品注文した。武蔵野うどんは地元野菜の煮物が付け合わせとなることが多いが、天ぷらはその高級版といったところで、今回は野菜天ではなく「ちくわ天」にしてみた。
麺は固い。茹で方が固いというより、麺自体が固い。アルデンテなどというレベルではなく、バリカタという言葉が思い浮かぶほどだ。もぐもぐと噛み締める。麺は極太なので汁との絡みは少ないせいか、汁の味付けは濃い。もぐもぐと麺を噛み、汁の中に浮かぶ豚肉を食べる。延々とその繰り返しだ。麺は普通盛りを頼んだが、それでも重量的には一人前より多い。
完食すると程よいどころではなく、激烈な満腹感を感じる。延々と麺を噛んだことで満腹中枢が刺激されるせいだ。
満腹にも関わらず、次はどこのうどん屋に行こうかと、食べた直後に思い知らされるのが武蔵野うどんの魅力なのだなあ。
ちなみに店内の男女比はほぼ半々。うどん好きにジェンダー問題はないのだ。個人的な観察ではおっちゃんよりおばちゃんの方が、注文している麺量が多いみたいだ。