街を歩く

浜小屋風の居酒屋にて

マグロのユッケは日本人が隣国料理を模倣した中で、最大級の傑作ではないかと思う

一時期流行していた魚居酒屋はすっかり鳴りをひそめた感がある。その中で、着実に店舗数を増やしているのだから、このブランドは唯一の勝ち組と言って良いだろう。
肉居酒屋?はメニューの特性上「盛りの良さ」が要求される。巨大ハンバーグや1ポンドステーキ、ハンバーガータワーなどが典型だ。
ところが魚居酒屋で「鯛の丸焼き」とか「マグロの全身盛り」みたいな巨大メニューはどうも人気がない。どちらかというとちまちまとしたメニュー、それもビジュアル的なものがよろしいようだ。

確かこの店も創業当初の頃は、これでもかという「舟盛り」の量が人気だったような記憶があるが、今では小細工著しい(褒めてます)色彩豊かな小盛り料理に主力になっている。
おまけにコロナ以降のスマホ注文システムを導入をしながら、外国人に優しくない日本語メニューなので、大都会の店でも外国人侵食率が著しく低い。これはなんとも有難い。
と思っていたら、隣の席に大陸系らしい団体客が入ってきた。さすが渋谷だ。大衆居酒屋にまでインバウンドが押し寄せてくるとは。もっっとお高い店に行って、じゃんじゃん金を浪費してくれれば良いのに。

ビジュアルけな鮨?寿司? これも西海岸の匂いがする

この店は平成中期の居酒屋離れ時代に生まれたコンセプトだけあり、チープシック、コスパ、和食回帰など、昭和がおわった後の21世紀仕様居酒屋として完成度が高い。
ただ、大都市圏では希少な魚居酒屋だが、地方都市に行けば地元の人気店があるはずで、そこと対抗できるのかと懸念していた。結論は、東京発祥のチープシック・コンセプトは若い世代を中心に、「魚」とはあまり強い繋がりを持たないことで支持されているようだ。
逆に大阪あたりでは、これのコピーコンセプトがぶいぶいと市場を賑わせているようで、東西の文化感の違いが遺憾無く発揮されている。個人的には大阪にある幾多の真似っ子業態の方が完成度は高いと思う。

やはりあまりゴテゴテと弄りまわさず、そして品物にも無闇に拘らず、訳あって高いという商品とコスパの良い商品を上手に取り混ぜて、ビジュアル系に徹することが令和の成功方程式みたいだ。我が身を振り返ると……………反省するばかり。外食の罠は深いなあ。

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