街を歩く

高知県中土佐町 久礼の海岸

高知県中土佐町 久礼は鰹で有名な港町だが、初めて訪れたのは10年以上前のことになる。高知出張のついでに立ち寄ったのだが、カツオを使ってツナトッピングを国産化できないかと思いついた挙句、唯一記憶にあった「カツオの町」の商工会議所を調べてに電話をかけた。そこで町おこしを企画する組織に紹介いただいて以来、長いお付き合いが始まったわけだ。結局、国産ツナの計画は中止になったのだけれども。

青柳さんは龍馬と同じで太平洋を見ているのだ

その時の記憶にあった「カツオの町」とは、80年代に連載されていた「土佐の一本釣り」というコミックで得た知識だった。よくよく考えればカツオの水揚げの多い町とかカツオ加工の産出額が多い町も調べて見るべきだったのだが、カツオ=高知=土佐の一本釣りという単純な連想でこの町に来てしまった。
約束の時間より早めに来てあちこちを散歩して回った時に見つけたのが、海岸沿いの道に立つ著者の像だ。当時のビッグコミック(小学館)掲載のコミックは作画に独特の画風があるもので、同じ時期に発行されていた青年誌の中では異色だったと思う。
マガジン系(講談社)は絵の上手い作家が多かった。ジャンプ系(集英社)は少年誌と同じで下手くそだが迫力のある描き手が主力だった。ビッグコミックは構図は上手だが、キャラ絵が独自で少年誌とは一線を画すという感じだったと思う。(今では青年誌の描き方に雑誌ごとの大きな差はないみたいだが)
その中でもこの土佐の一本釣りは独自感が超絶していた。だから記憶に残っている。カツオの町はすぐに思い出せたが、ストーリーやキャラはほとんど記憶にない。やんちゃな10代男子がわあわあ騒ぐ話だった、くらいしか覚えていなかった。

隣に立つカツオの供養碑 カツオの町らしい

この町を訪れて改めて土佐の一本釣りを読み返してみたら(絶版本なので買い集めるのが大変だった)、中卒でカツオ船に乗り込んだ半グレっぽい男の子のあれこれで、10代特有の性に対する揺らぎだったり、年長者に対する突っ張りだったり、この歳になれば微笑ましいエピソードばかりだった。が、当時は同時代を生きている同世代?に対する共感みたいなものを感じていたのだろうなあ。
現代の社会規範からするとパワハラ・セクハラ・ジェンダー意識などたっぷりと問題ありで掲載不能になるほどの中身だが、当時は許されていたのだな。

この描きての作品は他にもたくさんあるはずなのだが、やはり漁師の少年を主人公にした話が一番だろう。久しぶりに押入れの奥にしまっているのを取り出して読み返してみようか。

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