
サイゼイリヤは昔から愛用してきた。まだ、千葉県内にしか展開していない時期からだから長い付き合いだ。うまくても安いというか、安くてもうまいというか、人によって評価は違うようだが(よくネット上で炎上する話題だ)、自分としては「安さ(価格)は正義」だと思う。当たり前に提供すれば1000円になる料理を、あれこれ工夫して500円で提供することこそ大衆を相手とする外食産業の王道だろう。
そもそも、調理人が作る料理は王侯貴族の専用だった。それが多少の金に余裕がある大衆層が形成されると、「金をとって料理を出す」商売が成立した。だから、食堂とはそもそもが安く料理を食わせるためのものだったはずだ。
その変形亜種として、大金持ちにお殿様が食べるような料理を食わせるという、成り上がり向けの「狭い」サービスが生まれたのであり、金持ち相手の高級店は商売としてはあくまで派生物であり、食文化形成にもたらす意味では狭小なものだと思っている。
現代日本(少なくとも昭和中期以降)において正義の外食業とは、外圧で生まれた洋風ファストフードが嚆矢となっている。最初はそのファッション性が含まれる高額商品だったが、大衆化、店舗数増加とともに低価格化が始まる。ブランド形成時は高額で、普及機は低額でという2段階展開だった。平成期には外食業界における低価格ビジネスのモデルにすらなった。
だが、それを超える存在がサイゼリヤと吉野家という国産二大ブランドだ。ファミリーレストラン業界では最大規模のスカイラークがここ20年あまり迷走を続け、今では訳がわからない変な商売になってしまった。低価格指向を追求した吉野家も、いまではその轍をふもとしているが、サイゼリヤだけはぶれがない。
特にアメリカ的なマーケンティング主導経営のマクドナルドと一線を画しているサイゼリヤは、ある意味で最強のマーケティング戦略をとっている。
「安くてうまい」だ。だからコスパが業界最強という評判を作る。実践しているのはそれだけだ。クーポンなど使わない。宣伝費もかけない。出店立地は地下や2階フロアという外食企業にとっての二級立地だ。それでもサイゼリヤの看板だけで客が集まってくるのだから、宣伝も不要だろう。

と長い前説を書いてしまったが、週末のサイゼイヤは混み合い過ぎで利用しにくい。特に学生を中心とした熱烈支持者が圧倒的で、朝から晩まで混雑するのでパスすることにしている。では、平日ならば良いかというと、これもランチを中心に高齢者軍団が座席を占拠している。歳を取ったら肉を食わないなどというのはもはや都市伝説だろう。自分よりも歳が上と思われる後期高齢者ですら、もりもり肉を食べている。なので平日昼もこれまた混雑している。
ところが雨の平日になると、これが面白いように高齢者客がいなくなる。雨が降った日はサイゼリヤ日和だと思っている。
ということで先日かなり激しい雨降りの中、いそいそとハンバーグを食べに行った。注文したのはミックグリル。同じものを居酒屋で頼めば間違いなく2倍以上の値段になる。
ああ。うまかった。コスパ最強、安さは正義だ。吉野家ももう一度ブランド・キャッチコピーを見直した方が良いと思うよ。ランチで一番満足度が高くお値段が安いのはサイゼ入りやで、吉野家もマクドナルドも値段では敵わないのだよね。