街を歩く

平和の使者 二次元アイドル

コロナの前まで、千歳空港メインロビーにぶら下がる広告バナーは大陸中国の金融機関のものだった。爆買いなどと言われていた、買い物グループツアー客向けのものだったのだろう。馬ではすっかり広告主がかわっている。
相変わらず外国人客の姿は多いが、おそらくその中身が変わってきてるのだと思う。ただ、日本屈指の観光客空港なので、国内線付近の土産物屋であっても各国語表記は以外と少ない。日本人客主体で十分商売が成り立つようだ。
ラーメン道場なるラーメン店集合エリアでも外国語対応はかなり低調だ。これが福岡空港や関空となると、日本語が各種言語の中に埋もれているような店もあるので、やはり地域による外国人客の質と量は異なっているのも間違いない。

日本特有の文化であるらしい「二次元アイドル」「平面アイドル」という存在が、千歳空港の国際線ターミナルにドカンと登場したのは、この日本が誇る平面文化がついに本格的なグローバル文化に飛び立つ予兆なのかと、ちょっと感動した。
そもそもボーカロイドの出現は商業文化とは全く異なる、純粋オタク(そんな存在があるのかどうかわ知らないが)のフォ力の賜物で、せけんてきにはずいぶんとひややかなめでみられていた。当時、仕事で関わっていたアニメ業科関係者であってすら、ボーカロイドに関してはイロモノと見ていたくらいだ。
そのイロモノたちが、今ではすっかり世界市場に進出した上で、日本全国でローカライズされる時代となった。これぞ文化的な進化であり、世界平和の象徴だと思う。残念ねがらハリウッド映画でも風刺されたように、米国を代表するネズミキャラは、ベトナム戦争の兵士たちの人気者で国威発揚とまでは言わないが、ソルジャーを支える支柱だった。
このボーカロイドを嗜好する日本の若者たちが銃をとる時代が来ることはないと祈りたいが、戦場では無用無キャラのままであると思う。

そういった意味で日本特有の文化キャラ?のボーカロイドが世界進出して、平和な世界を広げて欲しいものだ。まあ、つわものどもが集結して応援しているとはいえ、それは平和的なライトによる集団乱舞みたいなものが多く、世界平和に役立つしかない。武装解決とは最も遠い集団だろう。少なくともボーカロイドとともに米国やロシアに輸出して布教活動に努めれば間接的な戦争抑制につながるとは思うが。

さて、ボーカロイドと同じ階に、巨大人型兵器の会場も設置されてしまった。こちらでは全ての物語の背景に、ドロドロとした恨みや自分より優れたものを羨み呪い引き摺り下ろそうとする「クズ人間」ばかりが登場する人類ダメストーリーだ。
敵味方含め全てのキャラ、特にメインキャラは全員怨念まみれであり、サイドキャラですら地獄に落ちること確定の呪いがかかっている。ストーリーを全部見れば、人類に生き残る価値などないと確信させる。おそらくシリーズ全編を通して「よいひと」っぽいのはララアくらいしかいないが、彼女も人殺しの一員だ。
ところが、このサーガのファンは、このダメ世界を肯定的ににうけとめているが、それは仮想世界の仮想兵器、現実に存在しない悲劇なので問題なかろうというスタンスなのだ。そして、自分は決して現実世界の戦争や悲劇に関わりはしないという無自覚な信念があるからこそオタク道を邁進できる。その点で、ボーカロイドファンとはかなり近しい存在だとはいえる。

だから、ボーカロイドと巨大人型兵器は世界平和の推進役として、千歳空港国際線ターミナルで日本オタク界の心意気と精神を伝導して欲しいものだ。

まあ、日本国政府が威張っていた「クールジャパン」って、こんなことなんだと思うのだけどね。国会議事堂前にRX98-2と鉄腕アトムでも並べて欲しいものだ。あ、どちらも平気か。となるとやはり青色の猫型直立歩行ロボットしかいないかなあ。

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