街を歩く

グローバルアイドルとジェンダー

千歳空港のフードコートは滑走路が見える大広間にある。そこに飛行機を見に行ったら、なんと猫型二足歩行ロボットがいた。このロボットのAIは50年以上前から現代の最先端AIより優秀なのだが、この風貌のせいで高い評価を得られていないような気がする。差別だとロボット社会からは非難されても仕方がない。この猫型二足歩行ロボットが大量に生産されれば、子供社会のさまざまな問題は一気に解決しそうだし、その子供たちが成長した社会は今よりずっとマシな世界になるような気がする。人類改良計画の一環として、ぜひ国家維新をかけて開発してもらいたいものだ。まあ、それでものび太は大人になってものび太だったけどなあ。

どうやら、そのその猫型二足歩行ロボットのテーマパークらしきものが国際線ターミナル付近にあるらしいので、のこのこと見物に行ってみた。子供が小さい時にこんな施設があれば楽しかっただろうなあ、などと思いながら。

入場料を払えば中に入れるのだが、流石におっさん一人で入るのには躊躇いがある。入り口付近を見て回っておしまいにした。時間が早すぎるせいか、あたりには子供の声も聞こえない。

ただ、現在のインバウンド観光客箱連れが多い。自分の常識的な判断では、まだ飛行機に乗せて旅行するには幼すぎるのではないかと言いたいおちびさんも連れているものがとても多い。
当然、空港での時間まちなど退屈して走り回る子供がいても不思議ではないし、日本が保安上は比較的安全んな国だとしても、インバウンドの金持ち目当てで子供を攫う不届きものがいるやも知れぬ。と、思う外国人観光客の親は多いだろう。
だから、隔離された子供の遊戯施設は需要があると考えた誰かが、この猫型二足歩行ロボットランドを作ったのだな。それは理解できる。そしてこのキャラクターが選ばれたのは、外国人、つまり異文化で育つ子供たちにも受け入れられる(もちろん、親も承諾できる)普遍的な、グローバルな価値観や道徳感に裏付けされた物語なのだと思う。
のびたのようないじめられっ子はどこの世界にでもいるだろうし、そもそも大多数雨の子供がのび太のような怠け者なのだ。だから、いつでも怠け者をなんだかんだ言って救ってくれる猫型二足歩行ロボットは子供の世界で「最大級」の敬意と信頼を得る。
スーパーマン的な勧善懲悪を果たす正義の味方より、もっとずっと頼りになる友達だからだ。おまけに、この猫型二足歩行ロボットには男女による好みの差はない。そもそもロボットは中性的でジェンダーレスなのだ。たまに超男性的、マニッシュ(これも差別語だったか)な性格のロボットが出現しても、それはいつでも悪役でしかない。アトムから始まる二足歩行ロボットの大半は中性的であるが、そこにはジェンダーレスな正義を望む子供達。大人たちの願望が含まれていると言えば言い過ぎか。
まあ、男の子にも女の子にも、人として生きている子供たちには人気があるからこそえらばれた、おまけに親世代にも支持されるグローバルなアイドルだろう。

その猫型二足歩行型ロボットの施設の向かい側に、これまた不思議なグローバルキャラ、座った猫の施設がある。猫被りな施設は、犬よりもめこキャラが普遍的人気を持つせいなのか。ただ、こちらは少しジェンダー的な偏りを感じる。おまけに、子供向けに作ったフリをしながら特殊な嗜好を持った大人のための施設の香りがする。
世界的なシンガーも大好きなどと言っているグローバルキャラクターだが、猫型二足歩行ロボットとは違う世界設定のようだ。

そして、この猫キャラをあしらった二つの施設の上階には、巨大二足歩行型戦闘兵器の世界が待ち構えているし、その隣には二次元ヒロインの先立であるボーカロイド北海道バージョンの施設もある。
千歳空港国際線ターミナルは、グローバルな嗜好に合わせた世界平和を目指すキャラたちで溢れていた。まさに、これが日本が果たすべき世界平和への努力ではないのだろうか。愛は地球を救うなどという昭和なキャッチフレーズはもう捨てて、キャラが世界を調和に導くというメッセージを日本国政府は真剣に検討すべきだろうなあ。
そのためであれば、制作各社も著作権だのうるさいことは言わないはずだ。マリオに化けた総理大臣を馬鹿にした連中はもう一度世界のあり方を考え直すべきだ。少なくとも現総理大臣はマリオ顔ではなくクッパ顔だとは思うが、それでもハルクのように顔ではなく心意気で世界をすくうヒーローもいることだし。顔の悪辣さでは米高大統領も良い勝負だ。恥じることはない(笑)。

グローバルでジェンダーレスなアイドルは世界を救うのだなあ、というのが千歳空港での結論であります。

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