街を歩く

伝統芸というべきか 大衆食堂の華

自宅近くのターミナル駅前に商店街がある。端から端までかなりの距離があり、入り口には交番、出口?は銀行という不思議な道なのだ。昔は色々な業種の店が立ちならび、それなりに賑やかな商店街だった。北の街から引っ越してきて初めてこの商店街に来た時は、なんともしょぼい田舎町だなと思ったものだが(それまで住んでいたのはパルコがある大都市だったから)、この街に長く暮らすことになるとは思っていなかったせいだ。
その頃は駅も木造平屋建てのしょぼさで、西武鉄道の拠点駅とは名ばかり。ホームに降りた瞬間眩に暈がしたほどだ。(くどいようだが地下鉄が三路線走る大都市の都心部に住んでいたのだ)
その田舎町が今ではタワマンが10棟以上、高層マンションを入れれば30棟近くがたちならぶ郊外都市として変身したのだからびっくりする。
そのタワマンの立ち並ぶ近く、商店街の路地裏というか脇道の奥に一軒の食堂がある。その存在は昔から気がついていた。ただ、なかなか入る気が起きない。昼なのに暗い路地というか怪しさを醸し出す裏通路なのだ。
それでも軽く昼食をと思った時、商店街のほとんどを占める全国チェーンの飲食店は嫌だなあとローカルな店を探そうとして思い出した。
行燈にラーメンとうどんと定食と書いてあること自体がお店の正体を明かしているようなもので、要は昔の大衆食堂、メニューは和洋中折衷のなんでもありなのは自明のことだ。

恐る恐る入ってみれば、先客が二人ほどいた。床が微妙にベタついているのは大衆食堂のあるあるだ。なんとも形容のし難い匂いがするが、これも長く営業している食堂ではよくあることで、天井と壁に染みついた油と調理の過程で出る油煙の混合だろう。最近の換気が良くなったレストランではあまり起きない現象だ。つまり、この店は昭和から続く  The 大衆食堂で間違いない。となれば注文するのはオムライスかラーメンの二択だろう。
品書きには懐かしの食堂メニューが並んでいて、オムライスもしっかり存在したが、それは次回のお楽しみに取っておくことにした。ランチのA定食も捨てがたいが、やはりここはラーメンだろう。
醤油ラーメンを注文した。味噌ラーメンもあるのだが、やはりまず第一投として期待するのは普通のラーメンだ。出てきたものを見て納得した。まさにこれは東京支那そば系統の醤油ラーメン 昭和40年代バージョン」だろう。具材はチャーシューとめんまというシンプルさ。全く平面的なルックス。ここから現在の複雑怪奇なラーメンに進化するまで50年かかっているのだなあ、としみじみ昭和を懐古してしまう代物だった。
味は普通に美味い。現代風の濃厚スープとは違い淡白なものだが、それはそれで味わいがある。
もっと前に来てみるべきだたと反省した。しばらくはこの店に通うことになりそうだ。一度、夕方に来てみたいものだとも思う。野球中継など見ながらビールを飲んでいるおっちゃんがいそうな気配だ。

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