街を歩く

ラノベの話

コロナの期間、外出もせず家に逼塞している時間が長くなり、その間にあれこれとラノベを読んでいた。
理由はいくつかあるが、一番の要因はあまり難しい話は読みたくないと思っていたことだ。時間があるのだからトルストイ作「戦争と平和」を一気読みするという選択肢もあったのだが、どうもそれは嫌だった。
二番目にWEBで掲載した作品、いってみれば無料の同人誌的な発表の場で、読者の人気投票で勝ち上がった作品を出版社が商業化するという新しい仕組みのビジネスが定着したことだ。ラノベの版元は大半が角川系列という現状で(社名は違っているが角川グループの出版シュアが半数以上を占める寡占業界)、商売上手の角川はWEBテキスト→書籍化→コミカライズ(漫画で出版)→アニメライズ(アニメとして商業動画化)→実写映画化という、一粒で何度も美味しいビジネスモデルを完成させた。
つまりテレビや映画などの商業エンタテイメントの源流がWEB小説をスタート地点にする時代になったということだ。そこに興味を持ったことがある。
三番目に書き手がアマチュアからスタートして、人気が続けばプロ化、専業化するため、一つのタイトルで延々と長い長いお話を続けていく「長編大作」が多いことだ。
当然、1-2冊書籍化して終わりとなる書き手もいるし、書籍化は販売不振のため2冊で終わるがWEB連載は延々と続くという場合もある。玉石混交のジャンル作品なのだが、少なくとも書籍化され10巻を超えるものが多くある。これが暇つぶし読書にはとても良い。
だから、コロナのために自宅にこもっている無聊を慰めるにはもってこいだった。おまけに大多数の人気ラノベ作品はネットで買えるWEB書籍だ。本屋に買いに行く必要がない便利さだ。
ちなみにコロナの外出禁止期間は書店すら営業していないこともあり、本を読むならネット通販かダウンロードしかなかったということもある。
ラノベ、あるいはコミックの人気作品は巻数が膨大となり実際に本屋で全巻を買おうとしても在庫していないことが多い。例えば100巻を超えたワンピースを1巻目から読もうとしても(買おうしても)、全巻を在庫している本屋を探すのは大変だろう。

コロナの閉塞期はネットで購入していたが、外出緩和期には中古本屋を探すことが多かった。ラノベは中古本で1巻から10巻までまとめて販売されることが多く、特に古い作品であれば新刊本屋では集めきれない、あるいは何軒か本屋巡りをしなければ全巻を揃えては手に入らないことが多いので、中古本屋のまとめ売りは便利だった。
中身の評価もせずに10巻パックであれば買ってしまうということも多かった。巻数が多いということは人気が高かった、人気が途切れなかったという、ある意味で書き手の実力があるという証明にもなっていると思ったからだ。(実際には好みに合わないハズレ作品も随分あったが)
今になって、どの本を最初に選んだのかは覚えていない。途中からはレンタルでラノベコミックも合わせ読みするようになったので、どうも記憶が曖昧になっている。それでも一番印象に残っているのは「転生したらスライムだった件」だろう。
これはストーリーの面白さもあるが、ラノベにおける小説作法というか人気要因の分析という点で、一番あれこれ考えたシリーズだった。

などと書いてきたが、どうやらこの本を最初に読んだのは2016年年でダウンロードの無料お試し版だった。コロナの頃は10巻を超えたあたりだったのだろうか。ダウンロードしたまま放置していたものを一気読みしたという意味では、コロナ期にかかっていたかもしれない。
とりあえずラノベのあれこれを考えていたのはコロナの期間だった。

転生ものがティーンズではなく30代サラリーマンに人気だという記事が出てから5年以上経っていた時期でもあった。

画像はアマゾン販売サイトからの引用

この「転スラ」は数あるラノベのベストセラーの中で最大級の累計売り上げ部数だと思う。コミック界でいえば「ワンピース」みたいな、ジャンルの代表作なのだ。これをネタにあれこれ考えてみた。

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