
武蔵野うどんという埼玉一円に広がるローカルうどん文化がある。昔の武蔵国は現在の東京都と埼玉県南部にあたる。多摩川が武蔵国と相模国の境目、荒川と利根川が北・東の境目「下総国」の境界となっている感じだ。
関東平野の川沿いでは稲作も行われたが、武蔵国は基本的に台地のうえにあるところが多く稲作より麦作が行われていたので、小麦文化・うどん文化が生まれたらしい。
武蔵野うどんの有名店は多いが、ほぼ単店でチェーンを作っていることはほとんどない。その武蔵野うどん業界のなかで最近着実に店舗を増やしているのが「竹國」うどんだ。オーソドックスな武蔵野うどんを出す。街道沿いや畑の真ん中に店を出すので、知る人ぞ知るというタイプの食堂だ。
固めのうどんが出てくるので、一般的なツルツルと喉越しを味わううどんではない。もぐもぐと歯ごたえを楽しむうどんだ。麺も太めなので、濃いめのつけ汁につけて食べるのが一般的だ

豚肉バラを甘辛のツユで煮出した肉汁につけて食べる「肉汁うどん」、豚肉の代わりに鶏肉で作ったツユで食べる「鳥汁うどん」が人気筋だが、個人的には肉の入らないきのこ汁うどんを好んでいる。
武蔵野うどんの店の中には追加料金を払うと、つけ汁が二種類頼めるところもあり、そういうときにはカレー汁を頼む。カレー汁は出汁の効いた濃厚味なので実にうどんに合う。
武蔵野うどん店では1玉半が標準的な量で、好みによって2玉・3玉と増量できる。最高で5玉という店を見たことがある。あれは、もはや食べ物とはいえない「山」だった。
この店では普通のかけうどん、盛りうどんなども頼めるので、お腹の空き具合と体調に合わせてメニューを選べことができる。単品で天ぷらの追加もできる。おまけに週に2回、うどん食べ放題の日がある。最初の完食した後に追加のうどんは無料で注文できる。2回3回とお代わりをしている人を当たり前のように見かけるが、あれもすごい量だなと思う。一回の提供量がおよそ3玉分だと思う。それをおかわりするとは……
噛み締めて食べるうどんは、月に一度は食べたくなる。次はカレー汁にしようかな。