
ホテルのビュッフェ形式の朝食は実によろしくない、と椎名誠氏がエッセイの中で激白していたのを覚えている。伝統的な旅館の朝食、特にあじの開きを愛用しているとも述べていた。椎名氏のエッセイは好みなので随分と読んだものだが、(多分、新宿赤マントはほぼシリーズ全巻)この朝食の好みについてだけは頷けない。
ビュッフェの朝飯が好きなのだ。理由は簡単で、朝から野菜サラダがたっぷり食べられる、そこに尽きる。野菜サラダさえ食べ放題にして貰えば、あとはご飯だろうとパンだろうとなんでも結構だし、そこに焼き鯖があろうが鮭のペラペラな薄切りがあろうが、あじの開きがあろうが全く関係なし。卵焼きでも目玉焼きでも良いし、海苔と佃煮だけでも良いくらいだ。大事なのはたっぷりの野菜サラダ(キャベツの千切りときゅうり?)があれば良い。
地元も名産品がずらっと並んだ函館の朝食ビュッフェに人気ホテルにも行ってみて、朝から山盛りいくら丼を食べたが、その時もメインは野菜サラダだった。外資系のビジネスホテルや温泉付きで有名な日本資本のビジネスホテルを選ぶ時も、たっぷり野菜サラダが食べられることが選択の条件になっている。
旅先ではどうしても野菜の取り方が少ないから体の自衛策という意味合いもある。アメリカに出張で行った時、一番困ったのはヘビーで甘い朝飯をとりながらのパワーブレックファストというやつだった。特に、中西部や南部地域ではコッテリと甘い朝飯が主流だった。
だから、野菜不足になるとマクドナルドに行ってサラダを買って食べていた。ちなみに、アメリカで一番お手軽にサラダを蹴えるのがマクドナルドなので、日本のマクドナルドももっと野菜を売って欲しいものだが。その代わりをコンビニが担当しているということだろうか。
東海岸、西海岸のシティーホテルに泊まると、こってり甘い朝飯からは解放されベジタリアン天国と言いたいくらいの朝飯にありつける。特に、西海岸はその傾向が強い。
久しぶりにビジネスホテルのビュッフェ朝飯を食べてみたら、ドレッシングが5種類もあったので驚いたが、ひょっとするとこれはインバウンド観光客の影響なのかもしれない。
ちなみにこの日のメニュー?は冷奴とじゃこおろし、野菜サラダに野菜スープ(味噌汁ではない)という、実に植物繊維たっぷりのもので、ソーセージや焼き鮭は不要だった。たっぷり食べてもお腹が重くならない。良い1日は良い朝飯からだなあ、などと思っていた。