
太刀魚の刺身は珍しい気がする。どこか高級な店に誰かのお供で行った時に食べたようなうっすらとした記憶もあるが、お江戸界隈では居酒屋のメニューとして出てくることはまれなのではないか。夏のはも、冬の太刀魚はどちらも西国の名物であるような気がする。
そんな太刀魚を漁師町の居酒屋で食べた。あっさりとした白身かと思ったら、思っていた以上にねっとりとした旨みがある。美味いものだなあ。ただ、カツオの町だけにこうした地物の魚を食べることが少ない。そもそも知り合いの魚屋でもカツオ以外の魚はほとんどおまけ程度でしか売っていない。
タイは見かけたことがある。友人に言わせると甘鯛も地魚として揚がっているいるそうだ。冬の時期であれば沖うるめという細長い魚が干物になっているが、確かそれも生食できるのではなかったか。次回行った時に、地元の魚について聞いてみようか。
はらんぼというカツオの下腹の部分を焼いて食べると酒の肴には良いらしい。チチコと言われるカツオの心臓は甘辛く煮たものがよく肴として出てくる。カツオの町なのだ。カツオ尽くしだ。
いやこれではダメだ、もう少しカツオ以外の魚を食べてみよう。ちなみに、シイラとキハダマグロは現在商品化に取り組んでいるから、これも併せて研究対象にしてみれば……………
美味しい太刀魚を食べながら、あれこれ欲のいり混じった邪な考えをしておりました。