
よく行く高知の漁師町は朝飯を食べる場所がほとんどない。朝からバリバリ飯を食うタイプではないので、それは別に構わない。腹が減るのであれば前日にパンでもカップ麺でも買っておけば良いのだ。
ただ、かの高知で有名なモーニングセットを出す喫茶店は7:30から営業している。晴れた日には散歩がてらその喫茶店を目指すこともある。ただ、ずっと店名が分からなかった。というより読めなかった。
地元の友人との会話の中で出てきた店名とこの難しい店名がなかなかリンクしないので、会話がおかしくなった。あれこれ話をしているうちにえんじぇるというらしいことが朧げにわかってきた。20世紀の終わり頃、まだバイクに乗り集団で移動する若者文化が成立していた時代、こんな難しい漢字を集団名につけていたりしたなあ、などどおっちゃんの感覚で懐かしくなった。

自分の街にこんな喫茶店があればせっせと通うだろうなと思わせる端正な一戸建てのお店だ。喫茶店でコーヒーを飲むのと、カフェでカフェラテを飲むのは似たようでいて全く異なる文化だと思う。由緒正しき喫茶店ではクラシックかジャズがかかっていて、濃くて苦めのコーヒーが出てきて、たまにおまけでクッキーが一個ついていたりする。そんな文化こそ自分が所属すべき空間だという思いがあり、由緒正しき喫茶店が残る土地は文化地だと信じている。
人口100万人を超える大都市では、その良き文化は壊滅の危機にあり、人口一万人に満たない地方都市で生き残っているのを思えば、人口以外に文化を図る別の尺度が必要なのだとも考えてしまう。
モーニングを楽しむ地元のおっちゃん・おばちゃんの言葉は聞き取るのが実に難関な高知言葉なのだが、それもお江戸で流れるラジオの英語放送よりはよほど耳に優しい。
朝から文化について考えられる「喫茶店」に感謝だな。