街を歩く

沖縄 記憶に残る旅

沖縄に久しぶりに行ってあれこれ感じたことがある。仕事できていた時は、仕事の目的地だけを跳んで歩いたせいか、あまり印象に残る土地ではなかった。個人旅行できた時も、観光地を駆け抜ける弾丸旅行だったからやはり記憶が薄い。
今回は街中を歩き回ったせいなのか、かなり記憶に残ることが多かった。秋の終わりの温暖な季節ということもあり、こういう土地でしばらく過ごしてみたいなと思った。那覇空港はどこかホノルル空港に似ているななどと思ったのは、空港を出た瞬間の空気感、匂いのせいだろう。

今回は、乗り鉄の根性を発揮して沖縄唯一の鉄道を端から端まで乗った。この鉄旅が一番印象に残っている。といっても、片道一時間程度だから、旅というにはおこがましいが。

お江戸ではダウンジャケットをきる季節に、半袖のシャツで街歩きをするのも楽しいものだった。気分は街ごとリゾートで、ハワイに行った気分に近い。まあ、日本語が通じるハワイというと言い過ぎかもしれないが。赤い花は記憶に残る。花の記憶が残るなど、人生初めてのことかもしれない。

沖縄の城は琉球石灰岩でできている。加工のしやすさのせいだろう、石が綺麗に整形されて積み上げられている。日本各地に存在する城跡を見ればわかるが、このように整形された石を整然と積み上げるようになったのは、戦国期の終わりから江戸時代初期にかけてのことだ。沖縄に残る城は戦国期のそれよりも技術的に進んでいた。
当時は独立国だった琉球王国の文化遺産であり、独自の様式美がある。無理やり日本の文化の型に当てはめて説明するものでもない。そのあたりも城に併設されている記念館、博物館などで強調しても良さそうなものだが。

アメリカには数多くのハンバーガーチェーンがある。その中のいくつかを試したこともあり、お気に入りのチェーンもあるが、その有名バーガーチェーンの中でA&Wというブランドは実にユニークだ。基本的にチーズバーガーの店なので、濃厚・重厚・ボリューム志向のバーガーが出てくる。大口を開けてあんぐりと食べるバーガーだが、食べる途中で肉汁が垂れてくるのが嬉しい。
ちなみにバンズはアメリカンというか、安っぽいというか、これに文句あるか、嫌なら他に行け的なチープさがある。日本のバーガーチェーンはバンズにこだわって、超高級化しているが、バンズはあくまでバーガーの脇役でしかない。バーガーの主役はバンズに挟まっている肉なのだから、バンズはチープな方がいいと思う。 沖縄らしさとは関わりないかもしれないが、沖縄でしか食べられないアメリカンなファストフードは貴重だ。

豚汁定食も町の定食屋で食べてびっくりした。この強烈な鰹出汁の味噌汁は、もはや並の豚汁を遥かに超えている。これもお江戸界隈で、誰か販売してくれないものだろうか。沖縄そばも鰹出汁だが、これほど強烈ではない。
この沖縄版豚汁に小皿2・3品をつけた定食は、定食チェーンで採用されないのが不思議なくらいだ。この味は現在のラーメン業界における大潮流、「豚骨・魚介系Wスープ」に通じるものがある。野菜たっぷりのスープはもはや副菜ではなく主菜だろう。沖縄でまた食べてみたいものの代表になった。

そもそも料理というのは、出される店によって味が違うのは当たり前だが、それでも沖縄の料理店で出されるジーマミー豆腐のバラエティーは素晴らしい。どこのどれが一番うまいといえないくらいのバリエーションで、どうやら同じ店でも同じ味にならないこともあるようだ。それが楽しい。宝くじを引くようなものであり、ロシアンルーレット的な楽しみ方と言える。ただ罰ゲームではない。やはりご褒美だろう。
中華料理屋の杏仁豆腐も似たような感じがあるが、ジーマミー豆腐の方がなお楽しい。ちなみに、スーパーでも売っているが、こちらはだいぶハズレが多いのは何故だろう。

ライトアップされたもみの木ではなく椰子の木というのも、南国的なクリスマス感があるなあ。この人工的な風景は日本特有の文化なのだろうか。トロピカルリゾートの本場、ハワイでは椰子の木のライトアップが実施されているかどうかは知らないのだが、ワイキキは別にして郊外の住宅街に行けばライトアップハウスはありそうだ。

今回は、ずいぶんと沖縄に惹きつけられてしまった。また機会があれば、今までずっと避けていた死ぬほど暑い時期の沖縄に行ってみたい気もする。汗だくになった後のブルーシールアイスクリームは、人生観を変えるほどうまいような気もするのだが。

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