
だいたい二ヶ月に一度、早朝の渋谷に出かける。その時の気分で朝食メニューを変えるのだが、腹ペコの時はそばか牛丼、軽く食べたい時はセルフ珈琲店でモーニングセットを頼む。特に、カイザーサンドというちょっと変わったバンズを使ったサンドイッチは珍しいので、これをよくたのむ。見栄えもそうだが、味もあっさり系のミックスサンドであり、なんとも都会的な雰囲気がある。まさにシティーライフを感じる、というと言い過ぎか。レタスではなくベビーリーフを使うあたりの演出が心憎い。

そんな早朝の渋谷駅を、いくたびに写真を撮ることにしている。東急百貨店が解体されてどんどん低くなっていくのを見て、なんとも物悲しい気分になった。生まれて初めて一人で東京に来た時、昼飯を食べたのが東急百貨店の食堂だった。渋谷の街を一人歩きして、一人飯を食べるのに恐怖していた頃だ。思い出しても赤面もののウブさだなあ。
妙に見晴らしの良くなった渋谷駅東横口だが、ここも渋谷駅北口とかに名称が変わるのだろうか。
だいたい駅舎の壁面看板は一ヶ月おきくらいで変わっているようなのだが、イベントの告知とか映画の公開告知などが多い。今回はなんと「文字広告」で、それも「悩んでいます」と来たものだ。なんの広告だがよくわからないが、インパクトはある。ただ、それでは広告として働いていないのではないか。素朴な疑問だ。

悩んでいますの隣は、おそらく芝居の告知だと思ったが、これもよくわからない。なのでネットで調べてみたら、なんと韓国人の女性アイドルグループだった。この手の知識が根本的に欠如しているので、まったく、かけらも、微塵も、想像できなかった。
最近では人気アイドルでもテレビにはほとんど出てこない。露出は基本的にネットだから、テレビでの垂れ流し情報にすら自分の網に(笑)引っ掻からない。おっちゃん族はこの手のニューウェーブにはまったく乗れない。
自己弁護をすれば、物ごころついてからずっと、アイドルグループを知らなくても人生はともかく無事に生きていけるさと嘯く程度だ。唯一関心を持っていた芸能関係者は引退間際の百恵ちゃんだ。
ちょっと勘繰てみると、一昔前であればこのような駅前の大きな看板で広告を出せるのは某アイドル大量雇用事務所「J」 くらいしかなかったはずだが、あの事件の後ではまだ社会的に納得してもらえる状況ではないのだろう。屋外広告など火に油をそそ舞踊な物だ。
それ以外の大規模刻々主となると携帯キャリアー3社、大手飲料メーカーくらいしか思いつかない。この規模の屋外広告をできる企業はそうそうない時代だ。ネット広告とは異なり、従来型メディアは効果測定が難しいためだ。今のご時世、ハリウッドの大作映画でもこの手の広告は難しそうだ。できるとすればスターウォーズ10くらいだろうか。
早朝の渋谷で日本経済を考える。貴重な時間だったなあ。(負け惜しみです)