
沖縄に仕事で行った商談会が無事終了した夜、沖縄居酒屋3連チャンの最終日は焼肉屋になった。が、とうとう最後まで焼き肉を注文することはなく、沖縄の家庭料理っぽいものを頼んでいた。最初の一杯はオリオンビールだが、そのあとは泡盛にした。

沖縄料理の定番中の定番らしい、ぐるくんの唐揚げ。この骨が硬い魚の唐揚げは、関東周辺で食べるアジの唐揚げとは似ても似つかない、小魚料理の典型だろう。限りなく素揚げに近いと思う。なんの捻りもないと言えばそうなるが、元来小魚料理とはあまり手をかけないものなのかもしれない。

ヘチマの味噌炒めは実にやさしい味だった。沖縄の野菜料理、それも味噌で仕立てたものはどれもやさしい味付けになる。味噌自体が甘めなのか、やんわりとした塩味というか、衒いのない素朴さがある。豆腐と合わせればなおのことだ。

これも沖縄の家庭料理の絶対定番らしいにんじんシリシリだが、脇役に回りがちな人参という野菜を主役に引き立てるのは実に素晴らしい。この細切りの人参を用意するために、大根おろしに似たシリシリ器が売っている。目の粗い物と細かいものの2種を見つけたが、細かいものの方がにんじんの甘味が出そうな気がする。卵と合わせてほんのりと出汁の味がする程度の薄味だ。最近のニンジンはすっかりマイルドで甘くなっているから、卵料理には向いている。これももう少し世に広まってもよさそうだ料理だなあ。

アグー豚の塩焼きはシンプルの極みだが、アグー豚自体が味の濃いものなので、柑橘果汁とよく合う。まあ、これは沖縄で食べるから感じるうまさなのかもしれないが。濃いタレをつけて食べるより、シンプルに塩で食べるのがよさそうだ。
沖縄の居酒屋では、日本全国どこでも並ぶ定番メニューがしっかりラインナップされているが、旅行者としてはついつい琉球テイストな料理ばかり注文してしまう。だが、ここに落とし穴がある訳で、実は名前は同じだが料理としては全然別物という「沖縄ショック」的な存在がある。それはまた別のお話として。
沖縄料理は体に優しい……………気がするなあ。