街を歩く

琉球料理 第二夜 しゃぶしゃぶ

お仕事先のメンバーと合流しての沖縄飯はホテル近くのしゃぶしゃぶ屋だった。リゾートホテルの近くにありながら、幅広い幹線道路をわたるといきなり住宅地になる。その住宅地の中のあちこちにバラバラとレストランがあるのはなんとも異様だ。
確かに大都会の繁華街のような、道の両脇にずらっと飲食店が並んでいるというのも、ある意味不思議といえば不思議なことでもあるが。
隣が立派な邸宅とでも言いたい家の横に、そのしゃぶしゃぶ屋があった。外観はかなり良さげに見えた。こういう店は予約なしだとなかなか入れないのだなと思っていたが、たまたま一席だけ遅い時間の予約があり、その時間までであればということですんなり入れた。

沖縄料理が初めてというメンバーはあれこれ事前に調査してきたようで、まず手始めにミミガーからスタートした。なんとも渋い選択だ。このコリコリした食感は好みだが、出てくる量が前菜というより主食級で、これだけでお腹が膨れそうだ。お江戸の沖縄料理屋で見慣れた量は一体なんなのかと思う。少なくとも自己推定でお江戸版の3倍くらいの量だ。

その後も色々と野菜料理を中心に注文したのだが、忘れてはいけない沖縄料理の定番を最後で気がついた。ジーマミー豆腐、つまりピーナッツの豆腐だ。豆腐と言われているが、大豆製品の豆腐とはちょっと違う。弾力があり、硬めのグミみたいな感じだ。中華で登場する杏仁豆腐の硬いやつみたいなものだろうか。これも店によって味が全然違うので、どこの店に行ってもとりあえず注文したくなる一品だ。
甘めのソースをかけて食べるのだが、これはほとんどデザートなのだ。ただし、酒にも合うとは思う。

沖縄ではやはり現地の流儀に合わせて泡盛だなと、ご当地泡盛の残波をロックで注文した。ついつい飲みが進み、目の前には三杯のグラスが並んでいるのだが、これは琉球グラスで厚手のロックグラスだった。色違いのグラスで出してくるお店の心意気が素晴らしい。
流石に四杯目に手は出せなかったが、次のグラスの色は何色だったのだろう。
全国あちこちに工芸グラスの名産地はある。江戸や薩摩切子のようなほとんど芸術品もある。ただ、切子は壊すのが怖くて実用品にはならないと思うが、それでも自宅には薩摩切子のぐい呑みがある。飲まずに見るだけだが……………
その点、琉球グラスの厚ぼったい重量感のある手触りは、実に実用的なものを感じさせる。特に、ロックグラスに似合っている。初めて沖縄に来た時に琉球グラスの工房を見学に行って、この琉球グラスの材料はもともと米軍が持ち込んだコカコーラの空き瓶だったと聞いて驚いた。今でもコーラの瓶のリユースと言うことはないだろうけれど。
琉球グラスのルーツはさておき、今では洗練された薄手のデザインで、ファッショナブルな製品も多い。それはそれで素晴らしいものだが、やはりこのボテッとした厚手のグラスが良いなあと思う。沖縄の第二夜は料理もさることながらグラスに感動してしまった。

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