街を歩く

沖縄 那覇市役所のあたり

国際通りの入り口には守護神シーサーが睨みを利かせている。九州南側は気温が高い日本の一地方という感じがするのだが、沖縄は明らかに南国感がある。あちこちで見かけるシーサーもその南国感を増幅している。

南国といえば、やはり椰子の木だよなあと短絡的に思ってしまう。椰子の木の並木は河内や宮崎などでも見かけるが、やはりハワイ的というかリゾート感を強める椰子の木は、沖縄でしかみられない気がする。単純に生まれ育った場所が北の果ての大地だったから、椰子の木など写真でしかみたことがなかった「南へのあこがれ」のせいだろう。

四角いサイコロ状の建物が通り沿いにずらっと並ぶ。たまにホテルなどの大きい建物があるが、不揃いな建物が観光情緒を掻き立てる。大都心に立ち並ぶ高層ビルの伶俐さとは一線を画した人のぬくもりみたいなものを感じる。
ハワイにある古い街並みもこんな感じだった。歴史的建造物などというつもりもないが、街並みの良さというのは全国各地の観光地でも認識され保護の対象となっている。都市の景観、街の見応えというのは時間をかけて守るべき遺産だろう。

その国際通りの端にある那覇市庁舎がなかなか秀逸だ。造形だけをみると中央アメリカにある古代文明の跡のようにも見える。マヤ、アステカ文明が築いた神殿ピラミッドにフォルムが似ている。そして何よりすごいのが、窓際に延々と緑の植栽が置かれていることだ。ぱっと見にはビルが植物に侵食されたようにかんじすらする。おそらくエコ仕様なデザインなのだろう。向かい側にある沖縄県庁が直線的な現代建築なので、その対比はなかなか面白い。市庁舎デザインコンテストなどがあれば、最終週候補の一角には入ると思う。

市庁舎の横に小さな公園があった。言われはわからないが、「愛する人」たちのためのパブリックスペースらしい。

噴水ともモニュメントともみて取れるふしぎなぞうけいぶつがあった。これが愛の形なのだろうか。夜になれば若き(老いた?)恋人たちが愛を語るのか。日中は母と子が、父と子が愛を確かめるにはちょっと遊びがなさすぎる気もする。あるいは戦争のない平和な世界を祈る「人類愛」を確かめるための場所なのかもしれない。のんびりとした沖縄の雰囲気には諍いよりも愛が似合っている気がするが、那覇市役所の隣はいささか喧騒が過ぎるようだ。どこか、もう少し静かなビーチあたりに「愛の公園」があっても良さそうな気もする。

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