
那覇国際通りは、沖縄県庁から牧志公設市場まで続く観光ストリートだ。正確にいえばゆいレール県庁前駅手前から、牧志駅までの間になる。その国際通りの中間点くらいにある「日本語」のない看板がランドマークだ。
世界最大のハンバーガーチェーンの看板から日本語表記が消えて久しい。最近は黄色いMの字だけで済ませることも多い。欧州の著名な装飾品企業もデザインされた意匠だけしか使わなくなっている。ブランドの浸透に応じて字数が減るというのは世界的な現象のようだ。日本でも伝統的な「家紋」などは簡略されたブランド・アイコンとしてはるか昔から確立している「定番」だ。
そのM社の看板の下に、M社と似たようなデザインで看板を置いているのは韓国系のステーキハウスらしい。もっともハングルは読めないので推測だ。こういう看板を見ると、まさに国際通りの名に恥じないと思う。

その近くに民謡ライブという看板を見つけた。日本各地を旅した経験でいうと、民謡ライブの店は実に数少ない。記憶にあるのは青森県津軽地方くらいだ。国際通りには民謡ライブの店が何軒もある。歌って踊るのが好きな県民性が発揮されているからか。それにしても、沖縄地料理とは初めて目にする単語だ。伝統料理とか家庭料理などはあちこちで目にするが。「地」料理とはねえ。
意味はわかる。ただ、江戸地料理とかヤマト地料理など聞いたことはないから、これは美しい造語だろうか。

同じ系統の看板を見つけた。沖縄ハイボール、それってどんなもの?と気になる。黒糖が入った真っ黒なハイボールとか、パイナップルで黄色くなっているものとかを想像してみた。意外とうまそうだ。その連想でゴーヤのしぼり汁のハイボールが浮かんできたが、これはいけない。どう考えてもハイボールというより漢方系の代物で、飲む罰ゲームみたいな気がする。
ただ、これもよく考えると「沖縄ハイボール」の酒場ではなく、沖縄の「ハイボール酒場」なのかもしれない。どちらが正しいのか、入って確かめるしかなさそうだ。

日本全体がスモークフリー社会に変わっている最中、もはや見かけることもない看板に出会った。すごいインパクトだが、タバコの販売店ではないようだ。昔々はタバコを売っていたのかもしれない。
うろ覚えの記憶だが、沖縄が日本に返還される前、沖縄には専売公社(古い名前なので知らない人も多いだろう、現在のJTの前身)の魔の手が伸びておらず、タバコ製造販売は民間企業が行なっていた。返還後もしばらくは沖縄ブランドのタバコが販売されていたようだ。その当時のたばこ屋さんなのだろうか。この看板だけ譲って欲しいと思う。

まさに飲み屋街入口の看板だなと見つけた瞬間に思った。夢の街竜宮城で今宵もしこたま飲みまくれ、というお誘いが聞こえてきそうだ。社交街という言葉自体が蠱惑な響きを伝えてくる。ここも、夜になったら歩いてみたいところだ。今ではすっかり見かけなくなったネオンサインが現役のような気がする。

この看板、不思議で怪しいキモカワ系だ。看板を見ただけでは何を売っている店なのかよくわからない。牧志店あるから、他にも支店があるのだろうか。ミージャとは沖縄の言葉でどんな意味があるのだろうか、とても気になる。

その隣にあったのが島唄の店で、沖縄民謡と島唄は違うのだろうか。多分、違うのだろうな。こちらは地料理ではなく普通に沖縄料理と書いてある。
那覇国際通りはもっと時間をかけてゆっくりと、おそらく一週間くらいかけてあちこちの店を回ってみないと、その良さが体験できないと思うのだが。とりあえず、看板を眺め歩くだけでも楽しいものだった。