
学生時代から通っている蕎麦屋がビルの建て替え工事などで次々と閉店していく。残った店を訪ね歩いて食べるというなんとも情けない状態が悲しい。
ただ、店が減っているのは蕎麦屋だけに限らない。札幌都心部はビルの建て替えが一気に進んでいるので、新築ビルには新しいレストランが入居する。その一方で昔から続いていた店は代替わりすることもなく閉店していく。いと哀れなり………なのだ。
札幌市内のどこにでもあった大衆居酒屋「つぼ八」は全く見なくなった。そもそも大衆居酒屋自体が消滅の危機だ。ラーメン屋も一時期は街中ではすっかりなくなっていたが、最近は狸小路を中心にラーメン店復活の機運がある。これはありがたい。
こじんまりとした鮨屋の路面店もめっきり減ってしまったが、新興の鮨店がビル内に出店している。これは新陳代謝と考えるべきなのだろう。
残念なことに蕎麦屋は一方的に減少している。これも時代の流れと諦めるしかないようだ。それでも、昔懐かしの蕎麦屋を訪ねて昼下がりの蕎麦を楽しむ。昼時の混雑時は外すようにしているが、蕎麦屋が減ったせいか午後遅くまでそれなりに混み合っている店も多い。
いつものもりそばを注文し、するっと啜って蕎麦湯で一息という蕎麦の楽しみ方は、もはや文化的活動かと思うほどだ。お江戸のこだわった蕎麦屋は実に面倒臭いと思うことが多い。なので、札幌の大衆食堂的蕎麦屋が妙に心地よい。
昭和レトロを楽しむ若い衆にも蕎麦好きがたくさんいてくれると、蕎麦屋も生き延びられそうなのだが……………