旅をする

太宰府 国立博物館

太宰府駅前から天満宮までの門前町はとてつもない人出だった。感覚的には歩いている参詣者?の3割が外国人観光客だが、アジア系旅行者は日本人と見分けがつかないものも多いので、もう少し外国人比率は高いかもしれない。
その観光客に大人気(撮影用)だったのが某シアトルコーヒーの店だった。入り口のファサードが確かに異様と言うか前衛的と言うか、マッチ棒細工のような外観だった。入り口脇のテラス席?で高齢者男性が休憩しているのが微妙にミスマッチだった。

今まで気にしたことがなかったのだが、名梅ヶ枝餅は門前町にあるあちこちの店で売っているのだ。行列ができているところもあれば、待たずに買えるところもある。人気に偏りがあるのが不思議だ。
焼きたての餅はハフハフいいながら食べる。気温が高い時には熱々すぎてちょっと食べにくいかもしれないなあ。
たまたま並んだ行列の店で、前の客がとんでもない大量注文をして5分以上待たされた。隣の店では待ち時間なしなのだから、お参りする前から運が悪いとしか言いようがない。しかし、行列の原因はうまいまずいということではなく、たまたま入った大口注文みたいなことかもしれないと納得した。
食べた梅ヶ枝餅は美味かったのだけれどねえ。他の店の餅をハシゴするほどの望月でもないので一軒でおしまいにした。

天満宮に来たのは10年ぶりかもしれない。福岡で仕事があったとしても、時間に余裕がないと太宰府まで来るのはなかなか難しい。福岡中心部からだと一時間もかからないのだが、心理的な距離感がありすぎるのだ。

以前来た時より楼門が鮮やかに見えるが、改修工事をしたのかもしれない。春日大社のような鮮やかな朱色ではなく、かなり落ち着いた色調なのが太宰府っぽさとも思える。古代ヤマトの時代には、太宰府は最大の外交拠点であり貿易拠点でもあり、そして防衛拠点でもあった場所だ。当時であれば左遷の地ということでもないだろうが、平安中期を過ぎれば「都落ち」と言われるように場所になる。
遣唐使をやめるよう進言した本人が、西国にある大陸との中継拠点に飛ばされたのだから、ある意味で意趣返し的な貴族同士の政争だったのかもしれない。流罪であれば隠岐島とか八丈島とか、まさに島流にあったはずだからソフト左遷だったのか。

拝殿の屋根の上に緑のお山ができていた。これは初めて見たが、何かお祭りの意匠なのだろうか。最初見た時は屋根だとわからなかった。なんだかすごい……………

今回の本命は天満宮のお参りではなかった。ずうっと来てみたかった国立博物館にようやく来ることができた。ここで阿修羅王像の期間展示がなされていたことがあり、それを見にきたかったのだ。阿修羅王像は人気者なので、あちこちに貸し出されることも多いし、修復のためなのか展示されなくなることもしばしばだ。貴重な機会だと思って。
この博物館では比較的長期間の展示だったので、なんとか時間をやりくりして見に来たかったのだが果たせなかった。そのあと、奈良の国立博物館で阿修羅王とは会うことができた。東京の博物館では長蛇の列ができる人気ぶりだったから諦めた記憶がある。

阿修羅王はさておき、九州国立博物館はユニークな展示をしていることでも知られている。上野にある博物館と比べるとコンパクトだが、展示のあり方に独特の思想というか考えがあることくらいはわかった。素晴らしい展示だった。
あえて文句を言うとすれば、もう少し説明書きを照らす照明を明るくしてほしい(暗すぎて読めないのは高齢者だけだと思うが)のと、ミュージアムショップはもう少し大きくしても良いかなあ。明らかに外国人向けと思われる商品も多いが、もう少し日本人観光客向けの渋いセンスなものが欲しいと言うのはわがままでしょうか。

ずっとずっと行きたかったところにようやく到着した。人生の宿題として残っている「一度行きたい場所」が一つでも解決できたのは嬉しい。あと残っているのは大物はタージマハールとアイスランドの活火山なのだが、これを見るのはもはや……………望み薄で難しいなあ。

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