
福岡に来たのはひさしぶりだが、前回来た時には時間がなくて訪れることができなかった「天ぷら」屋に立ち寄ることにした。この店は10年以上昔から、知人に紹介されて何度も来ている。天ぷらはうまい、間違い無い店だ。そして価格がお手頃という事もあり、いつでも長い行列ができる人気店だ。
この店を見る来ると、外食企業に働いている人間は、必ずと言っていい方ど模倣店を作りたくなる。知っているだけで3社がこの店のデッド・コピーに挑戦し、これまた皆さん失敗している。簡単に真似ができそうだが、実は真似をして成功するのが難しい「コンセプト」だ。外食関係者には罠というか、禁断の魔力があると言っても良い。

基本的に天ぷらの組み合わせが違う「定食」を注文する。ただ、この天ぷらの組み合わせがジグソーパズル的難しさがあり、初心者は選ぶのに時間がかかる。名前を見て、天ぷらの中身が想像できるのはとり天かエビくらいだろう。

席に着くと、まず最初に濃いめの天つゆと塩辛が出てくる。実は、この塩辛こそこの店の看板商品だと思うのだが、天ぷらが出てくるまでチビチビと塩辛を食べるのが楽しみだ。この塩辛は、塩味がとても薄い。うっすらと柑橘系の香りがする。塩辛というよりイカの漬物、浅漬けといったふうだ。さっぱり味の塩辛というのも珍しい。これだけで丼飯が食えそうだ。

天ぷらは揚げたてのものが、一つ二つとバットに並べられる。食べると火傷をしそうな熱々だ。魚と野菜が順番に出てくる。

それぞれの定食は6−7種の天ぷらが出てくるので、完食するころにはすっかり満腹になる。体調を万全にしていかなければ、店内に立ち込める油の匂いに負けそうになるのが注意点だ。ご飯は大小サイズを選ぶことができる。昼時であれば1時間待ちは覚悟しなければいけないが、3時過ぎだと行列がなくなるので、遅い昼飯、あるいは早い夕食として午後遅くに行くのがおすすめだ。

なぜか客の1/3くらいが外国人だった。福岡の名店がインバウンド・ジャックされているのは微妙な違和感というか複雑な心境になる。が、何より迷惑だったのは隣の席に座ったカップルで天ぷらを食べながら大声でずっと知人の噂話、痴話話をしている。明らかに外国人よりタチの悪いのは日本人だなと、天ぷらとは全く関係ないことに感心してしまった。