街を歩く

地元系居酒屋にまよいなし

ひさしぶりに葉牡丹に行った。秋の夜長というが、夕方6時には暗くなる季節なので、夕闇に誘われて居酒屋へむかうのは、それなりの風情がある。良い季節になったものだ。これはなかなか嬉しい。
相変わらず大人気でたまたま開いたカウンター席にありつけたが、ちょっと遅れれば空席待ちになるところだった。

イカの鉄板焼きなるメニューを頼んだら、自分の予想と全く違うものが出てきて、これはびっくりだ。頭の中にはイカがマルっと一匹横たわっている姿が浮かんでいたのだが、イカの切り身ともやし炒めが出てくるとは。確かに、いかの鉄板焼きに間違いはない。
食べてみて、これはこれでありだと思った。イカ好きが言うのだから嘘ではない。

二品めの注文はだいぶ迷った。腹の空き具合が微妙で、次の一品で打ち止めになりそうな気配だった。八宝菜という昔懐かし中華メニューと定番酢豚が、頭の中で5分ほど乱戦を繰り広げた。結局、定番の勝ち。
ここの酢豚はきゅうり入りだ。酢豚にきゅうりが入っているのは、西日本で多い気がする。おそらく明治期あたりに大陸から渡って来た華人料理師たちに、広州系南方派と北京系北方派がいて、西では南方系、東では北方系の料理人が主流だったのではないかと思っている。きゅうりのあるなしの境界線はどこにあるのかわからないが、愛知県あたりではないのだろうか。東日本でよく見かけるのだが、酢豚にパイナップルが入っているかどうかも、東西酢豚の違いのような気がする
自宅近くに残留孤児(とその子供たち)がやっている中華料理店がある。当然、彼らは日本的な中華料理の影響は受けていないはずなので、大陸的なオリジナル酢豚を作っているのではないかとおもうのだが、その店ではパイナップルではなくマンゴーが入っていた。中華路料理にもニューウェーブがあるらしい。
葉牡丹の酢豚は、おそらく明治とか大正から続く西国中華料理の伝統にしたがっているのではにかなあ。

この店のカウンター席は冬でも暑いくらいの熱気があるが、この季節は背中で回っている扇風機のせいで、ゾクゾクするほど寒い(笑)
熱気あふれる店で寒さを感じるのもまた乙なものだと意地を張っていたが、あまりに涼しいので早々に退散した。だって、体の正面は物理的に暑い、背中は涼しいのだから。今度座るときには、扇風機の位置をよく確認することにしよう。

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