街を歩く

渋谷で見つけた不思議な光景

渋谷という街では、実に面白いことをよく見つける。道玄坂下の某アパレルメーカーの店が閉店した後、ビルの外装もいじらずにイベントスペースとして活用しているらしい。壁面下だけを看板に変えて有名菓子メーカーが体験型のショップにしていた。道路沿いにずらっと並んでいるが店内はもっと混雑していた。アイスクリームの試食ができるらしいのだが。あまりの混みっぷりに諦めた。渋谷は若者の街というが、試食に並んでいるのは高齢者も多い。どこから聞きつけてくるのだろうか。

昔は待ち合わせの定番スッポットだった渋谷駅ハチ公前が今は撮影ポイントになっていた。撮影待ちの長い行列ができているが、さすがに日本人は並んでいない。富士山とコンビニを並べて撮るスポットが外国人が押し寄せて迷惑だと有名になったが、ハチ公前は多国籍な混雑ぶりで有名度は富士山スポットに負けないようだ。犬の銅像がそんなに珍しいかと不思議で仕方がない。

渋谷の道玄坂下から原宿方向に向かうと「裏渋」などと呼ばれている場所になる。そこに東急百貨店と並んでBunkamura 東急文化村と呼ばれる劇場施設がある。西武流通グループがパルコを旗印に公園通りという新しいエンタメスポットを作り上げた。公園通りはパルコ劇場をはじめとした、新鮮な文化の香りがしたものだ。
それに対抗して作られたのが(多分)東急文化村という劇場ビルで東急百貨店本店と合わせて東急グループのカルチャー発進基地だった。確かに、渋谷は東急グループの拠点だったが、そこに西武流通グループが殴り込んだことで混沌たるヤングカルチャーの聖域となった気がする。池袋は新宿は、その文化的抗争、競争がなかったから吸引力に欠ける街、大規模飲屋街みたいなイメージしかない。
その文化村芸場の入り口前はおしゃれ感あふれる「ストリート」なのだが……………

なんと、隣り合って立っていた東急百貨店本店が解体されて、劇場の裏側が露骨に現れてしまった。どうみても工場だ。それもゴミ処理工場的な「みばえ」が悪い。設計段階で東急百貨店、それも本店がなくなることなど計算していなかったのだろうなあと思う。
見えないところにデザインはいらないということだったのだろうか。その辺りは、やはり東急グループ的発想なのかもしれない。西武流通系施設はデザイン重視型の過剰デコレーションという感じもするが、裏側が手抜きされていることはないようだ。
まあ、西武流通系はグループ解体とともにほとんど人手に渡ってしまったから、今では何が西武かと笑ってしまうのだが。西武百貨店、パルコ、西友、ファミリーマート、みんな持ち主が違う。東急グループもハンズを売り払ったくらいだから、文化の担い手、文化の背景など所詮そんなものなのかもしれない。

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