街を歩く, 食べ物レポート

夏の終わりの十徳

久しぶりに新宿で知人と会うことになり、あれこれ行く店を考えてみたのだが、やはりいつもの居酒屋を選んだ。新宿には東西南北(笑)に好みの店があったのだが、コロナを境に古い店はどんどん閉まってしまい、今では片手で足りるほどの店しか営業していない。
西新宿ではこの店ともう一軒、古い焼き鳥屋くらいだろう。歌舞伎町の中はもはや別世界だし、東口にある新宿アルタ近くの店も長い間休業していた。3丁目で行きつけの店は随分と閉店してしまった。ああ、残念。

さて、この日楽しみにしていたのは「トマトのお浸し」だった。実はこれが食べたくてこの店にしたと言っても間違いない。トマトはすでに通年商品だが、なぜか夏になるとあちこちの店で「トマトのお浸し」をメニューに追加してくる。
湯むきしたトマトを出し汁につけただけというシンプルさが良いのだ。トマトは生食も良いが、出汁との相性も良いので、一人でこれ一個くらい食べてしまう。酒の肴というよりサラダの一種だろう。

マグロのたたきというのは珍しいが、個人的な感想を言うと、これはたたきではなくローストマグロではないかなと思う。カツオのたたきは、カツオ特有の血の味、ヘモグロビンの味?を和らげる。ただマグロはカツオよりマイルドなので、表面を炙ったくらいではあまり味の変化はしないように感じる。まあ、普通に美味しいが逸品と言うほどでもないか。

カンパチだったかシイラだったか、魚のフライはごく普通にうまい。魚は下味をつけたものをあげるとなおさら旨いのだが、今回の下味は微妙すぎてよくわからなかった。でも、美味い。白身魚のフライにタルタルソースをかけて食べるのよりもはるかに美味い。(個人的感想です)

冷やしワンタンは秀作だった。冷たいワンタンを濃いめのツユにつけ食べる。実に好みであった。夏らしい涼しげなメニューだ。これが餃子だとちょっと違うなと思わせるので、やはり料理人の腕前をいうものだろうか。ワンタンのツルッとした食感が素晴らしい。まさに夏の一品だった。拍手。

夏野菜のサラダは辛めの中華ドレッシングが良い仕事をしていた。添えられていた揚げワンタンのクリスピーなカリカリ食感が爽やかな感じを増幅させる。しゃきっ……と、ぱりっ………が合わさったサラダで、味というより食感で楽しませる一品だ。

やはりこの店は料理が素晴らしいものだらけだが、日本酒と合わせた時の仕立てになっている。料理好きの知人友人を連れて行くのも良いが、やはり一人で行ってチビチビぬる燗の日本酒を飲む方がもっと良い使い方な気がする。

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