
久しぶりに夜の歌舞伎町を歩いたら、なんと旧コマ劇場前、現在のトー横が防護策で隔離されていた。一連の新宿騒動、つまり家出少女のような行き先のない子供達を救護する活動とそれに対する反対運動や、この広場で屯していた若者が起こしたあれこれの事件対策として、柵で囲って誰も入れない(入れないことはないらしいが)という、極めて分かりやすい日本的な対策が取られていた。
確か都知事選の間もこの辺りの治安維持みたいな話が出ていたように思うが、新宿歌舞伎町はどんな規制をしても必ず裏を掻い潜る奴が出てくるし、弱いものを助けるという名目で荒稼ぎする、いわゆる貧困ビジネスを企む奴もこれまた多い。抜本的対策を取るなら、歌舞伎町全域を公園にでもして真っ平な無店舗地帯にするしかないだろう。そんなことができる都知事などいるまい。だから対策はいつも取り繕うだけになる。

そして、その囲いのある広場の横では路上で爆睡している方もいた。誰一人声をかけようともしないが、それが新宿というか大都会らしい光景だろう。下手に手を貸せば最後まで面倒を見るハメになる。例えば救急車を呼ぶとすると、救急車が駆けつけた後に事情説明をしなければならないし、とても時間と手間がかかる。(実体験で確認済み)
警察を呼んだとしても、自分の携帯電話番号が記録され、やはり面倒なことになる。(事後処理に付き合わされる)
新宿歌舞伎町は、おそらく10mおきに防犯カメラが仕掛けられているので、何かあった時には画像記録が残っているはずだ。だから、こうして道で寝ている人も、それなりに安全と言えば安全なのだろう。夏の終わりとは言え気温は夜でも25度近くあるし、北海道薄野の冬のように凍死する危険もない。終電までに目が覚めればとりあえずおうちには帰れるだろう。経験的には、30分ほどすると、路上睡眠者のほとんどはいなくなっている。路面の冷たさで目が覚めて帰るのだろう。
というようなことをみんな考えていると思う。ちなみに土曜の早朝であれば、この手の爆睡人種は新宿のあちこちにいる。渋谷では目抜通りで倒れている(?)こともあるので、都会ではありふれた光景なのだ。ホームレスが追い出されていなくなった街で、なぜか路上睡眠者が増えるのは21世紀的な面白い現象かもしれない。