街を歩く

六十は耳順だが

子曰く……………で始まる中国古典によると、人の歳と心得というかあるべき状態をたとえて、40歳は不惑、つまり迷うことがなくなる。50歳で天命を知る。60歳で耳順、ようやく人の言うことに耳を傾けるようになる、のだそうだ。確かに、人の言うことを聞かない、聞こうとしない爺様は多いし、自分もそうならないように努力はしているが。


何を今更、池袋で水族館だよとぶうたれることなく、家族の言うことに従いお盆休みの終わりに都市型水族館に出かけてみた。これは確かに正解だった。今年の夏休みはこれを絵日記に書こう的大成功だった。耳順とは大事なことなのだね。
さて、水族館の出し物はいろいろあるのだが、兎にも角にも感激したのは幻想的なクラゲの光景だった。
テレビで見たクラゲだけの水族館の話を思い出した。クラゲだけ見て何が面白いんだと実は馬鹿にしていたが、あれはテレビで流れたクラゲ映像がある意味低レベルすぎたせいだろう。今はすっかり改心した。悪うございました。クラゲだけの水族館に行ってみたい。

スキューバダイビングの資格を持っていれば、天然の海で、透明度が高い南洋のどこかで、海に潜り上を見上げれば素晴らしいクラゲを見ることができるのかもしれない。が、今更スキューバの資格は取れない。取れないと言うか撮る気もない。海の底に潜ると言うのは、原初的な恐怖を呼び起こす。溺れる……………という恐怖だ。
それなら、毎週池袋に通って飽きるまでクラゲを見ていれば良いと思う。この高層ビルの屋上にある水族館では窒息する恐怖など微塵も感じない。
おそらく夏休みが終わった後、平日の夕方から夜にかけていけば館内はガラ空きなのではないか。大雨が降っていたりすればもっと人出は減るだろうし。そんな時はクラゲを独り占めできるはずだ。などと、自分勝手な想像をしているようでは、まだまだ耳順の境地には程遠いらしい。

クラゲの姿を眺めて精進しよう。

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