
唐揚げの専門店はあちこちにあって、それがどんどん潰れていって、というのがここ3年間くらいのトレンドだった。唐揚げ屋が潰れた原因は色々あるが、一番の原因は「円安」だろう。原料の輸入鶏肉が国産鶏肉の値段と変わらないほど高くなったら、低原価で高く売れる「唐揚げバブル」が弾けるのも当たり前だ。
それでも、唐揚げの味付けで生き残る店も多い。某フライドチキン会社は横に置いておき(あそこも値上げのしすぎでそろそろ痛い目に遭う時期ではないかと個人的に思っているが)、唐揚げの有名地域、有名店では相変わらず毎日大量に売れているみたいだ。
この店も居酒屋としては唐揚げの一点突破型で成功している良い例だろう。それにしても、唐揚げ専門を名乗って(?)いるくせに、お通しが唐揚げなので、唐揚げ単品を注文しようとすると「注文して大丈夫ですか?」と聞かれる。ちょっと不思議な気分だ。
ただ、お通しの唐揚げが出てきたら、なるほどなと納得した。三人前のお通しとして出てきたのが唐揚げタワーだ。一人一個ということらしい。

何よりすごいのが、唐揚げにかかっているマヨネーズの量だ。唐揚げは骨なし肉でおそらく150gくらいだろうか。それにマヨネーズは50gくらいかかっている。カロリー計算をしたら気が遠くなりそうな「お通し」だった。
唐揚げの味付けはごくごく普通の醤油味だが、塩味はあまり強くない。揚げたてなのでハフハフ言いながら食べるのが良い。酒によく合う。ただ、冷静に味を確かめるとちょっと油の匂いが気になる。
実は唐揚げの味の決め手は油の鮮度なので、使いまわした油になると焦げ臭が出てくる。それが良いのだという調理人もいるみたいだが、個人的には賛成できない。
濃いめの醤油味でマヨたっぷりかけてしまえば油の匂いなど気にするほどでもないが、やはりこれは客層に合わせているのだなと思う。
ともかく店にいる客が皆さんお若い。おっさんすらいない。ジジイの集まりがちな居酒屋でこの若者特化コンセプトはすごい。
赤羽はおっさん居酒屋の街だと思い込んでいたが、若者向けの店がなんとも異彩を放っていた。おまけにこの店、小学校の正門から30mくらいのところにある。イメージ的には子供相手の駄菓子屋があるはずの立地なのだ。赤羽って本当にすごい街だと思い知らされた。