
池袋経由で帰宅する途中、饅頭を買うつもりだった。JRから西武線に乗り換えで西武百貨店に入ろうとしたら、いきなり白い塀で阻まれた。なんの工事だと思ったらデパ地下食品街の全面改装らしい。
ごめんなさいの一言もなく、「買いたきゃ、7階に行け」とずいぶん高い目線からのお言葉だ。当たり前だが、そんな面倒臭いことする気も起きない。だったら他の店に行くだけだ。日を変えて新宿に行っても良い。あるいは、ちょっと足を伸ばして西口にある東武百貨店にいくのでも良い。7階に行けと言われても鼻でフンと笑うだけだ。
この辺りの「下手な語り口」「センスのなさ」が、今の西武百貨店没落の原因だろうと思う。全盛期のセゾングループであれば、「なるほどね」と思わせる洒落たポスターを作っただろうに。騙されたと思いながら、ついつい7階まで足を運んだことだろう。
池袋本店の閉店が確定したのも不思議ではないと思わせる宣伝下手ぶりだ。そもそも西武セゾンが持っていた「ある種の華やかさ」は、現IYグループには存在しない「文化」の概念だろうしね。
豊島区長が池袋店閉店に反対した理由が、確か「文化性」だったと思うが、西武百貨店はすでにバブル時代の煌めきなどすっかり無くしてしまっている。独特の感性で池袋の街を持ち上げた「セゾンのちから」はすっかり低下してしまった。
そもそも西武百貨店とパルコはセゾングループの両輪だったはずだが、今やばらばらになり売り払われ、おまけにどちらも閉店ラッシュという没落ぶりだ。(セゾングループにいたファミマも西友もとっくの昔に売られてしまった)
盛者必衰は歴史の理とはいえ、寂しいものがある。西武百貨店とパルコ、好きだったんだけどな。少なくとも、7階に行ってみる気にならないほど、自分の中では落魄れた「オワコン」らしい。