
いつも迷った末、このラーメン屋に入ってしまう。まあ、味が昔風というところが魅力ではあるのだが、営業スタイルはこの10年近くほとんど変わっていない。昭和30年代の雰囲気を店内で演出している。懐かしの昭和レトロがコンセプトだ。
昔々給食で使われていたアルミのカップで水が出てくる。おかわりの水はアルミの丸いやかんで各席に置かれている。しかし、この懐かしさを感じるには、現在の年齢で50代後半がギリギリ、おそらく60代から70代が「リアルな懐かしさ」を感じる対象になるはずだ。
ところが、店内を見渡すと、そんなジジババは皆無だ。まあ、ジジババの年代ではラーメンを食べる、あるいは外食という行動から卒業しつつある。経済的な理由も大きいだろうし、健康上の理由からもラーメンは人気のある食べ物とはいえない。つまり昭和レトロコンセプトにとって、ジジババは完全なオフ・ターゲットになっているはずだ。

では、この昭和的空間を楽しむのは誰かということだ。カウンターのテーブルはガラス張りになっていて、その中に昔の駄菓子屋で売られていた「お◯けのQ太郎」のおもちゃが並べていた。そもそも、このキャラを知っているものは、もはやほとんどお墓の中に入ったか入りつつあるかの年代だから、これをどうやって使ったとか、どうやって遊んだだとかを知っているものは、もはや少ないだろう。
このキャラの容器の中に甘い粉末、砂糖が混じった「何か得体の知れないもの」を入れて、スースーと吸い込む。まるで、キセルを使ってアヘンを吸引するような怪しい玩具だった。(ように記憶している)

こんな玩具は今ではすっかり消滅していだろうと思っていたが、よくみると最近の人気アニメキャラがいるではないか。となると、このおもちゃ、まだどこかで現役で活躍しているということか。びっくりだ。どこで売っているのか?
と思ったが、ひょっとするとこれはただの「笛」なのかも知れない。手にとって見ればわかるのだが、ガラス箱の中でよくわからないぞ。

どうやら、このレトロな雰囲気を楽しむ客は「ワン◯ース」や「ドラ◯エ」に子供時代親しんでいた年代、つまり30-40代ということらしい。自分が生まれる前の時代も楽しめる「エンタテイメント・スキル」の高い、平成の子どもたちということになる。
見かけの風景に騙されそうになるが、この昭和レトロな空間は、昭和生まれのジジババを相手にした商売ではない。それを高齢者はわきまえなければいけないのだ。
簡単に言い切ってしまうと、ここは日光江戸村となんの変わりもなく、どこかの古都にある忍者屋敷と同じエンタメ施設だ。ただ、同じ世界観を提示している怪獣酒場とはちょっとことなるので、そこはまた別の機会に考えてみたい。うーん、来月はバル◯ン星人に会いにいくか。
初代ウル◯ラマンから登場する歴代の怪獣を全部覚えている小学生はきっといるだろうからなあ。