
クラクラするほど暑い日だったが、朝から紀伊国一ノ宮へお参りに行ってきた。和歌山市内の住宅地に囲まれた場所だが、ご神域は鬱蒼とした森になっていた。読み方がむずかしいのだが、「くにかかす神宮」と「ひのくま神宮」と読む。
伊勢志摩と紀伊国は、古代ヤマト朝東征の時代に、奈良盆地侵攻の迂回路になっていたので、祀られる神様もちょっと特殊な感じがある。征服王朝に対する地域の貢献者という立ち位置だろうか。中国地方の地域神とは扱いが違う感じがする。

鳥居をくぐったところは広い境内の始まりだが、実はこの先から森が始まる。あちこちの神社を訪れてきたが珍しい構成だ。歩いている時に感じる雰囲気でいうと名古屋の熱田神宮に似ている。

この鳥居の先からは写真撮影禁止となっていた。これも、初めてのことだ。本殿の写真撮影禁止はよくある。神様がいる場所だから禁止も当然と思う。が、参道から撮影禁止になっているのはどういうことだろう。おそらく、ドローンを飛ばしたりした不届きものがいるに違いない。日本人であれば恥いるしかないが、異教の民であれば神社でかしこまる気もないだろう。なんとなく嫌な感じがする。

紀伊の国には一宮がたくさんある。その一つがこちらの伊太祁曽神社だ。こちらは住宅地の端にある小ぶりな神社だった。朝早くだったが、外国人観光客の家族がいた。これも不思議な光景だった。ここに来るのはあまり簡単ではない。自動車移動するにしても、かなり面倒な道を通る。通勤ラッシュの時間帯であちこち渋滞もしていた。なたや京都にある絢爛豪華な寺社仏閣を見物したいというのはわからないでもない。しかし、和歌山県の山際の神社に早朝から来る意味合いはなんなのだろう。オーバーツーリズムは大都会の観光地だけの問題ではないようだ。

畿内というか、京都付近の神社はやはりヤマト朝廷の気配が濃厚にあるが、和歌山となると畿内とはいえ辺境感が漂うので、微妙に神社の形式が違っている気がする。特に、しめ縄の形状は興味深い。神社詣も数をこなすと、あれこれと細部に気がつくようになるのだけれど、これはなんのためにもならない知識だなとも思っている。オタク的知識は、普通の生活を送る限り全く不要なものでしかない。

楼門の横に小ぶりな展示室があった。そこには十二支の木造があったが、今年の干支「龍」はどこか別の場所に移されているらしい。探してみよう的クイズを出題していたが、神社でクイズはちょっと似合わない気もする。結局、具分ほど探してみたが見つからなかった。せめてどこかに答えとかヒントとか書いておいてほしかったなあ。