
北海道を代表するバス会社「中央バス」の札幌ターミナルは、札幌から道内各都市への長距離便が発着する交通の要所だ。最近、札幌駅前のバスターミナルは閉鎖されてしまったが、それまでは交通の便が良い札幌ターミナルがバス基地としては主力だったので、この中央バスターミナルは場末感が漂うところだった。
そもそも札幌の都心部としてはハズレにあり、中心地である地下鉄「大通り駅」からは随分と離れている。ただ、よく考えるとこのすぐ近くに札幌市営バスのターミナルもあるので、はるか昔、札幌オリンピック開催が決まった頃に交通網の集約が行われたのかもしれない。
個人的にはほぼほぼ使うことのなかった長距離バスなので、このターミナルに来たのは何十年ぶりになる。最後に来たのは学生の頃だったかもしれない。
その「懐かしのバスターミナル」地下にあるラーメン屋の話を聞きつけてわざわざ尋ねてみることにした。我ながら、酔狂なことだと笑ってしまう。

地下にある食堂街は、全盛期であればなかなか賑やかだったのだろうなと思わせる。客席が10ー20席程度の小ぶりな店が多い。残念ながら閉店して空きテナントになっている箇所もいくつかある。というか、昼は営業している店の方が少ないくらいだった。それでもあけている店は人気店のようで、開店前から待ち客が並んでいたりもする。このラーメン屋も昼前に行ったにもかからず10分ほど待つことになった。

お目当ては札幌でも珍しくなくなくなった「とんこつラーメン」だ。この店はかつての有名店が一度閉店した後で、復刻した「老舗ラーメン」の後継だそうだ。一般的な札幌ラーメンとはちょっとテイストが異なる。
そして、サイドアイテムとして提供されるカレーが、どうも名物らしい。チャーハンではなくカレーというところがなんだかすごい。席について迷うことなくラーメンとカレーと注文した。

ラーメンはクセがある。ドロドロ系のスープが苦手な方には向いていないかもしれない。2度3度と食べるたびに好きになっていくタイプとでも言えば良いだろうか。個人的にはもう一度食べてみたいと思った。どこか他の店と違うが、その違いがうまく言えないという「難度の高い」ラーメンだと思う。

カレーはサイドアイテムなので半量だが、カレーだけで注文したくなる本格派だった。札幌といえばスープカレーというくらい、スープが有名になっているが、実は伝統的なドロドロ・ルーのカレーもうまい店が多い。ただ、それとも異なるサラッとしたキーマカレーだった。これはクセになりそうだが、ラーメンと合わせると膨満感が激しい。困ったものだ。半ラーメンとカレーという希望は聞き入れてもらえるだろうか。

そのラーメン屋の向かいは夜だけ営業の居酒屋らしい。この店作りがどうも怪しげで興味をそそる。今度は、夜に居酒屋に行って、その帰りに締めでラーメンを食べようか、などと体に悪いことを思いついてしまった。地下食堂街(もはや死語だろうに)は実に怪しく素敵なのだなあ。