
弁当箱の研究をしていて、たまたま発見したのが「ポキ丼」だった。なんと寿司コーナーの中に置いていたから、これは弁当ではなく海鮮丼扱いなのだと思う。なんとも素敵なピンクの帯だが、製造表記のシールでデザインが台無しだ。企画部門(デザイン)と製造部門(弁当作り)のすり合わせができていないと言うことを実感する。よくある話だが、これがよくあるようではその企業の先はないぞと思う。自分の仕事でも起こしかねない「俺様はいつも正しい」という傲慢さの現れと戒める題材になった。
ちなみに「ポキ」はハワイ料理で生の魚、マグロや鰹などを醤油ベースのタレに漬け込んだものだ。現地で食べると、なんとなく鮮度は大丈夫かと言いたい店も多いが、そこをグッと我慢して食べると普通に刺身料理(みたいなもの)なので、そこそこうまい。ただし見栄えは悪い、真っ黒な魚がゴロゴロしているだけのものだ。

そのポキを日本風にアレンジすると綺麗な見栄えのものになる。これは素晴らしい。味付けもサラダドレッシング風でさっぱりとした爽やかさになっている。ちなみにレタスのあったところには温泉卵が入っていたのだが持って買える途中で潰れてしまっていた。取扱注意と書いておいて欲しかったなあ。

似たようなものを弁当売り場で発見した。チキンガーリックライスという名前に惹かれる。ガーリックは「引」の強い言葉だ。ただ、これもどこかで聞いたふうな名前だった。確かニューヨークの屋台弁当で売っている物の中に、チキンおアーバーライスというものがある。炒めたライスの上にドカンとチキンの切り身が乗っていて、それにヨーグルトソースがかかっているという代物だ。

蓋を開けてみたら、どうやらやはりチキンオーバーライスの日本分アレンジというものらしい。ただ、コメの上にかけるヨーグルトソースは採用されなかったようだ。漢字としては、ニンニク・チャーハンの上に焼き鳥を乗せたようなものだが、確かに洋風な感じがしているので、目新しさはある。食べてみると、食べ慣れた味の組み合わせなので、つまりニンニク味のチャーハン、鶏と目玉焼きという親子関係セット、添え物亜h炒めたパスタだから、なんとなく喫茶店で食べる昼ごはん的な感じに仕上がっている。
これも弁当というより洋風丼で、牛丼の一族と言えば良いのだろう。具材がライスの上にのっているが「どんぶり」ではなく「オーバーライス」という新種族が生まれつつあるようだ。食の世界の広がりは思いのほか早く進んでいるらしい。