街を歩く

春一番の闇

札幌郊外のベッドタウンというべき街にプロ野球のホームスタジアムができて一年がたった。週末のデイゲーム開催日には、この駅構内に溢れる人で通行が難しくなり、電車に乗り遅れそうになる。ただ、試合のない平日の夕方となれば人通りもめっきり少なくなり夜8時を過ぎれば駅構内には柵が巡らされ、24時間営業を標榜するコンビニも閉店する。この会社は加盟店と営業時間でよく揉めているので、電車が運行している時間は店を開けていろよと言いたい。

ちょっと特別感のある味噌ラーメン

その駅近くに一軒のラーメン屋がある。昼には席待ちの客がいるくらいの人気店だ。駅から歩いて行ける距離にあるほぼ唯一の飲食店というか、ラーメン店と言っても良い。実は数万人の観客を集めるスタジアムがある拠点駅ですら飲食店が営業できないほど、北海道の街は体力がなくなっている。
原因は明らかで、公共交通機関を使って移動する人数が足りないのだ。朝夕の通勤時にはそれなりに利用者がいる。ただし半分は学生、それも高校生が多い。成人すると、皆自動車を使った移動が中心になる。当然、食事をしに行くにも車移動で駐車場があるところを選ぶ。
これが、人口200万人を超える政令都市周辺で起きていることだ。日本全体で考えれば、鉄道不要論がもっと前面に出てきても不思議ではない。
確かに感覚的には、国内旅行をする時でも交通手段はレンタカーと考えるようになった。最近、あえてバスや地方鉄道を使った旅をしようと各地の時刻表を調べてみると、運行本数が驚くほど少ない。実用的に使えるとは言えない。ほとんどアメリカで旅行している気分になるのだ。
お江戸周辺で暮らしていると、その辺りの交通事情みたいなものが感覚的に鈍っている。だから、旅先で飯の場所にやたら困ったりもする。駅前に食堂がない場所が多くなっているからだ。

ただ、車で移動しているとどうしてもできないことがある。それは一杯のラーメンを食べながらチビチビとビールを飲むという悪徳だ。ぐびぐび飲むのではない、チビチビだ。ラーメンを啜り、次にビールを一口。そしてスープを飲んで、またビールをちびり。見るだけで「オヤジーな風景」だが。

野球を見にくる観客は、駐車場が不足しているので渋々JRを使うらしい。昨年は初年度ということもあり我慢していたようだが、今年からは不満が一気に吹き出しそうだ。個人的には、みんなJRとシャトルバスを使って、行き帰りには地元の食堂で一杯やってほしいと思うのだが、そもそもその受け皿の食堂がないのだよね。北広島市の政策は、何ともチグハグなのだな。

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