
東武鉄道網の東側路線がおしゃれなカタカナ路線名に変わっても、相変わらず無骨な名前で頑張っている東武東上線だが、名前だけは聞き知っている大商店街のある「大山」に初めて出かけた。
お江戸の中にはアーケードの長さが数百メートルに及び大商店街がいくつかあるが、なぜかこの「大山ハッピーロード」にはいったことがなかった。特別深い意味があるわけではなく、なんとなく行きそびれていたのだ。
ただ、他の有名商店街には外食企業が新コンセプト業態を出店することが多く、その視察に行っていた。大山には、記憶にある限り新コンセプト店が出店していない。多分、そのせいだろう。
駅の改札を出るといきなり大きなパン屋があった。なんとも魅力的な店構えなので、ついふらふらと入ってしまったが、店内には客席がありそこでパンを食べる人も多いようだ。喫茶店的軽食の場として繁盛している。しかし、この横には日本最大のハンバーガーチェーンの店があり、そこを抑え込んだ形で繁盛しているのだから、それはすごい実力なのだ。駅前でいきなりびっくりさせられた。

商店街の駅前付近は全国チェーンの店に占拠されていたが、ちょっと離れたところに渋い店を見つけた。まだ現役のようで、中に入ってあれこれ注文したくなった。「甘味」という文字は神田の裏通りの店でも見た記憶がある。まだ現役の言葉だ。しかし、「大学芋」がメイン商品の看板は、すごいというしかない。これは日を改めて再挑戦しなければと、固く決意した。(おおげさな……………)

この日の目的地である焼き鳥屋は、東上線を挟んで反対側の商店街にある。駅から少し離れた小路にあった。長い付き合いがある友人との居酒屋巡り、それの週末昼のみ編、第1回だった。午前中から開店するようだが、店内に他の客はいない。貸切状態で申し訳ないと思いつつ、愉快に過ごさせてもらった。

メニューを見ると焼き鳥屋と言うより鶏料理屋だと思うが、なかなかユニークな品物が並んでいる。あれこれ注文してすっかり堪能した。一つ残念だったのは、ごはんものの中に発見した「伊勢うどん」を注文し忘れたことだ。多分、これは例のお伊勢参りで有名な伊勢うどんだと思う。それを、居酒屋の締めで出す、それも板橋区で出すというのがなんとも素晴らしい。
そして伊勢うどんの隣には「ハムカツバーガー」が並んでいる。実にシュールな光景ではないか。よくよく見るとハムカツバーガーの反対側の隣には、茶亀麺なるなんとも奇妙なものが載っている。
どちらも試してみたい。これは、ソロで再訪決定だな。ただ、一人昼飲みは時間を調整しないと、悲惨な目に遭いそうな気もするので要検討だ。




チューリップの唐揚げが名物らしいのだが、それ以外の定番商品がどれもこれもうまいもので、ついつい品数が増える。池袋西口周辺もディープだったが、大山も負けずにディープな場所だった。恐るべし、板橋区。