街を歩く

高松駅のうどん

うどん県というプライドはすごい ちなみに埼玉県もうどん県らしいのだが

初めて高松に来たのはもう随分と前のことだが、まだYS11というプロペラ機が現役で、高松空港が現在のジェット機対応になる前、もっと海の近くにあった頃だったと思う。羽田から二時間もかかる低空フライトだったことが記憶に残っている。ただ、旧高松空港の記憶はほとんどない。
まだ現役だった宇高連絡船で高松駅に着いたような記憶もあり、駅の中に立ち込めるうどんとつゆ、出汁の香りが高松の第一印象だった。だから、高松には連絡船で何度か来ていたのだろう。まだ瀬戸大橋が完成する前の四国は、なかなかに来るのに時間のかかる大変な旅先だったはずだ。

その高松駅構内にあったうどん屋は無くなっていた。高松駅が新しくなったときに消えてしまったようで、今ではスイーツの店がある。昔であれば、ここは駅弁屋の定番スポットだと思うが、もう駅弁を食べるほどの鉄道を使った長距離移動は需要がなくなったということだろう。高松発で一番遠いところに行く列車は、おそらく高知県の西、宿毛に行く特急だが、それでも三時間強といったところだ。

かわいい車体カラーの琴電

そのJR高松駅から徒歩5分ほどのところに琴電の駅がある。この駅はお城の堀の中にある不思議な駅だ。広島県三原の駅も駅構内にお城,城壁が取り込まれている奇妙な駅だったが、それよりももっと不思議な感じがする。駅のホームからお堀越しに石垣が見える。

琴電駅のユニークさはなかなかのものだが、昔々宇高連絡船が健在だった頃は、連絡船から降りて琴電で金毘羅参りに行く観光客も多かったのだろう。金毘羅様は琴電でも、JRでも行けるので、その使い分けはなんだったのかと、これまた不思議に思う。おそらく、高松城跡の見学とセットになったツアーでもあったのではないか。連絡船でついた足でお城を見学して琴電に……………みたいなコースだ。

駅前で見つけたうどん屋

今回の高松は弾丸ツアーの途中下車なので、持ち時間は少ない。それでも駅周辺でうどんが食べられないかと駅ビルを探したが、なんと駅ビル内には全国チェーンの蕎麦屋しかなかった。この蕎麦屋,香川の人は使うのだろうかと心配になった。高松に来た余所者だけが入るレストランみたいな恐ろしい想像をしてしまった。確かに、香川県で蕎麦屋を見た記憶はない。
駅前の広場から少し離れたところで、ようやく一軒のうどん屋を見つけた。いわゆるセルフサービスの店だが、この提供スタイルは某うどんチェーンが全国に広めたので、もはや一般常識的な提供方法だろう。
行列に並んでちまちまと進む。注文場所にたどりつくと、まずうどんを頼む。熱冷、麺の量、つゆなどを指定すると、すぐにうどんが出てくる。そこから、天ぷらなどのサイドメニューを好みで皿に取り、最後に会計というスタイルだ。
初めて高松でうどんを食べる時,このスタイルがよく理解できていなくて、うどんを出してくれおっちゃんにモタモタするなと怒られたような記憶もある。

かけうどん(小)は麺が一玉だった。香川県のうどん屋に小盛りとか半盛りは存在しない。一玉は小、1・5玉が中、2玉が大、3玉が特大という感じだった。ちなみに自宅近くの武蔵野うどんも似たような玉勘定になっている。地元の名店では、半玉単位での注文が可能で、2.5玉も注文ができる。蕎麦でこういう玉単位での注文をしたことはないが、わんこ蕎麦であれば10椀で1玉分だったのではなかったかなあ。
讃岐うどんを食べるときはゲソ天と決めているので、注文に迷いはない。自分であげ玉とネギをドバッとかけて一気にうどんを啜った。10分近く並んで手に入れたうどんは、完食するまでほぼ1分だった。
讃岐うどんは出汁が勝負と思っているが、確かに本場で食べる讃岐うどんは出汁が美味いものだ。炭水化物だらけの食事と批判されそうだが、かけうどんと天ぷらの組み合わせは人類種の本能に刻まれた「うまさ」の構成要素を全て満たしている完全食品だ。これを美味いと思わない人間は、人類亜種と言われても仕方がない。
美味しいうどんを食べると、人類学まで思考が及ぶ。やはり讃岐うどんは知的興味を掻き立てる、すばらしい完全食品だ。

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