街を歩く

高級お宿の朝ごはん

ふたな島が見える東側

高知中西部の街の話が続いているが、このカツオの町に一軒の高級旅館がある。部屋数が少ないこともあり、予約はなかなか取れない。お値段もそれなりで、このご時世であればインバウンド客に占拠されそうな気もするが、高人気が幸いしてか(どっちにしても予約は難しいのだが)館内は静かなものだ。しっとりとした雰囲気がする良い宿だ。たまに自分へのご褒美として、こういう宿に泊まると人生も満更ではないなと思う。
小体な宿だが、太平洋を見下ろす小高い山の上に建てられているので、部屋から土佐湾を見下ろすことになる。全室オーシャンビューだ。朝日が昇る頃の景色が一番美しい。
温泉浴場も海が見える絶景風呂だが、そこには露天風呂があり、何と海水風呂になっている。肌に傷があるとピリピリしみるが、風呂から上がった後の体はなぜかすべすべになっているような気がする。

昇る朝日を見たら朝食の時間

この旅館の夕食はカツオを含んだ地場の海鮮料理が豪勢に並ぶらしいのだが、夕食は食べたことがない。(大体、その時間は友人たちと居酒屋で飲んだくれているからだ)
だが、朝飯はいつも満喫している。朝イチで露天風呂に入り、体を清めた(?)後に、厳かな気持ちで朝飯に立ち向かう。
なるほど、これが日本旅館の朝飯である、と言いたくなる正統派ストロングスタイルな朝飯だ。関東圏では朝飯によくアジの干物が出てくるのだが、あれは個人的に好みではない。朝食に出てくるアジは小ぶりで身が薄いから、焼きたてでないと実に固い。旨みが感じられない。
日本も西国に来ると朝食の中身は東国とはかなり変化している。干物がアジからサバに変わっていることが多い。ほかにも、納豆がついたりつかなかったり、海苔が焼き海苔だったり味付け海苔だったりという変化もある。だから、西国に旅行すると朝飯が実に楽しみだ。

この宿の朝食はちょっと多すぎるかなと思う量なのだが、眼下に広がる太平洋を見ながらのんびり食べると、不思議と完食してしまう。ああ、きっと今日もいい日になるという気がする「完全朝食」だ。
あまり知られていないらしいが、高知はお茶の生産量が日本屈指で、一時期は(たぶん今でも)静岡にお茶を大量に輸出していた。日本の法制度尾の面白いところだが、高知産茶葉を静岡でブレンドして製造すると静岡茶になるらしい。だから、茶葉の生産量と「お茶」製品の製造量は一致しない。今では表記法が変わってそのあたりの面白いことがなくなっているかもしれないが。
おまけに狭山茶の生産地に住んでいるので、ほとんど静岡茶など飲んだこともないから、静岡茶のあれこれを語る資格もない。
それはさておき、高知県で飲む高知産のお茶は美味しい。日本茶好きであれば、産地の差をあれこれと楽しむのかもしれないが、こちらはそんな素養もない。ただただ、美味しいと満足している。食度のお茶をお代わりして飲むのはまさに至福のときだ。

個人的な宿泊予算をかんがえると、相当に高級な宿に泊まってしまったが、良い宿に泊まると良い時間が過ごせる。特に、朝風呂朝飯を楽しめることこそ、旅館にお泊まりのお約束ではないか。
大都市の星付きシティーホテルに泊まり豪勢なモーニングビュッフェを楽しむのも良いが、やはり高級旅館の静穏さの方が好ましい歳になりましたねえ。

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