街を歩く

池袋の魚

友人3人で開催している定例居酒屋飲み会の会場が池袋だった。昼から飲める大衆店をチョイスしてお江戸の街をあちこち彷徨っている。池袋の北側にある店は、何とも風情のある店だった。メニューはいわゆるお江戸スタンダードで、目新しいものは何もないが、どれこもれも安定の品質だ。長くお江戸界隈で暮らしている人間には馴染み深い。
その店でしこたまホッピーを飲んだ後、珍しく二軒目に梯子してみた。二軒目は海鮮居酒屋で、魚を焼いて食べるという、これまた普段はあまりしないことをした。
確かにメザシは焼き立てがうまい。魚のすり身も焼いて食うとうまい。普段やらないことをすると実に楽しい。お江戸の池袋で魚三昧とは、何とも珍しいことだった。

この日は池袋の百貨店をぶらついていて、たまたま発見した「変わりのり弁」を買ってしまった。まさに、池袋で魚尽しだった。そもそも、すり身屋で買うのは、揚げたての練り物が多い。イカ天やごぼう天なども揚げたてのものはうまいし気に入っている。しかし、そのすり身屋でのり弁が売っているとは驚いた。
確かにのり弁といえばちくわの天ぷらと白身魚フライが定番だから、すり身屋で作れないこともないのだが。

ただ、すり身屋ののり弁は、定番おかず二品が若干変形していた。白身魚フライの代わりに豆腐のメンチカツが入っていたが、これは確実にグレードアップ版と言える。ちくわ展もさりげなく、存在感を示している。それ以外にも、おかず盛りだくさんの豪華のり弁だった。
ただし、よく見ると、漬物以外はほぼ揚げ物で、基本的には魚だらけだった。添えられていたのが醤油やソースではなく天つゆというところが、いささか上級感を醸し出している。天丼のような賑やかさは抑えた上で、しっかりと自分たちの個性を主張している。よく考えられている弁当だ。
実食の結果は、非常に満足度が高く満腹になる優れものだった。これはまた買ってみたいと思い。なぜか、池袋というお江戸の辺境で魚づくし、すり身を堪能する日だった。

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