
JR駅のホームにあった立ち食いそばの店はほぼ消滅しているが、未だ健在なのが品川駅山手線ホームにある店だ。
品川駅では京急線のホームにあった店を長く愛用していた。羽田から飛行機に乗る時のクイックミールとして、いったい何度お世話になったことか。その店がコロナの間にひっそりと閉店していた。実に残念だ。
JR品川駅は駅ナカがほぼショッピングモールになっていて、レストランなども多種存在する。その大改装によって、元々あった立ち食いそばの店は消滅してしまい、新たな店が場所を変えて生まれたのだが、どうもそちらは小洒落た店になってしまい、あまり使う気にならない。
今回は、朝早くで腹を空かせていたこともあり、たまたまホームに降りた目の前にあった店に迷わず飛び込んだ。

この店は蕎麦より、かき揚げ丼が有名なのだが、朝からかき揚げ丼は重すぎる。ちょっと考えた後で、きつねそばにしてみた。大きめの油揚げだが味付けは意外とあっさりしている。
関西風のやたら甘い油揚げも悪くはないが、関東立ち食いそば界では甘さ控えめの油揚げが主流のようだ。たっぷりと唐辛子をかけて、ネギと一緒に啜るそばはチープグルメの絶対定番だ。ああ、うまいと思う。蕎麦を啜り、油揚げを一口齧る。このほどよい甘さが良いのだ。旅に出る前の、ひとときの至福の時間だった。
各地でわずかに残存するホームの蕎麦屋を除いて、駅の立ち食いそばはもう復活しないのだろうが、あの我孫子駅の名店は無くなってほしくない。もしあの店が完全消滅すのであれば、その前にもう一度行っておかなければいけないなあ。