
高知県中土佐町は海沿いの港町久礼と内陸の大野見が合併した町で、海と山の産物がどちらも豊富だ。港町としてはカツオが有名で、山で採れるものといえば大野見米ということになるらしい。JR土讃線で高知駅から特急で1時間弱かかる。特急が止まるが無人駅だ。その駅のホームに新キャラらしい「悪ガキ風のボウズ?」が立っていた。どうみても昭和中期のイタズラ小僧にしか見えない。うーん、なんだろうなあ、この既視感は………

さて、久礼の町、一番の名物は大正町市場という小さなアーケード商店街で、休日ともなると人がひしめきあう人気スポットだ。そのアーケードの屋台というか、路上に置いたテーブルの上で高知名物、田舎寿司?を売っていた。
おばちゃん二人で元気よく営業活動していたが、そのおばちゃんに寿司買ってかないかと呼び止められ、まんまと寿司を買う羽目になった。高知の田舎寿司は、握り寿司だけれど魚は乗っていない。卵焼きや野菜の漬物などが魚の切り身の代わりに乗っているのだが、実はこれが大好物なのだ。だから、呼び止められなくても気がつけば買っていたはずだ。海苔巻きも美味そうだなと思ったら、あっという間に追加注文させられていた。
ノンアルビールが売っているのが、いかにも港町らしいというか、細かい心配り(笑)というものだろう。

しかし、こんな値段で売って儲かるのかと心配になる。世間では食料品の値上げが止まらないのに、このおばちゃんたちの売る寿司の値段は令和どころか昭和の値段ではないか。週末を挟んだ4日間の営業ということだったが、またきた時にはまずこのおばちゃんたちの店に立ち寄ることにしよう。

寿司を二箱買った後で、なんと米も買わないかと持ちかけられた。高知の米はもっちりとして甘い。そして特有の匂いというか香りがあるようだ。東日本では主流のコシヒカリ系統とはだいぶ味が違う。
この米の味覚に関しては地域の好みが強く出る。旅館の朝飯などでは地元米が使われていることが多いが、客が遠方から来ている場合はちょっと違和感を感じる時もあるだろう。
個人的な経験で言えば、南方に行けば行くほど東国の米と味が異なってくる。関西あたりから少し違いを感じるようだ。中国四国では差がはっきりとわかり始める。九州になると、ほぼ異国の米的な感じがしてくるし、沖縄の米はすでに東南アジアの仲間入りで台湾の米の味と近い感じがする。
その味違いの米を土産に持って帰ると、明らかに自宅でヒト騒動が起きそうだし、おまけに持ち運ぶには重いので丁寧にお断りした。田舎寿司を食べていて、米の味の差を感じたことはないから、酢飯にすると違いはほとんどわからないくなるとは思うのだけれど。
ただ、大正町市場で魚だけではなく、寿司を売ってくれるのは個人的にすごくありがたい。このおばちゃん二人の店が長く続きますように。