
歌舞伎町タワーは昨年の話題を攫ったものの一つだろう。旧新宿コマ劇場前の広場を取り囲むように幾つもの高層ビルが出来上がったが、このビルほど賑やかしいものはないと思う。極めて歌舞伎町的でにぎにぎしい。
このビルの前に、いわゆる「キッズ」グループが屯しているのだが、どうらや公的機関が排除活動を始めたようだ。西新宿に多数集まっていたホームレスを排除したのと同じ手法だから、この先は簡単に予想がつく。広場は常設イベントスペースになるようだ。

そんな歌舞伎町で、なぜか男二人でセルフの串揚げ食べ放題店に入り忘年会をすることになった。忘年会繁忙期を避けるために予定していた11月の飲み会が、何度かリスケになり、結果的に12月の中旬という忘年会ピークに合わせて歌舞伎町で酒を飲むことになった。周りにいる客はほとんど忘年会だったし、歌舞伎町なので外国人客も次々とやってくる。なかなか気忙しい。

串に刺されている具材はどれも小ぶりなので、とりあえず10本くらい取ってきて揚げてみることにした。セルフ方式なので「安全安心」を心がけ、野菜あるいは加熱調理品だけにしようと思ったが、エビの串刺しには心を揺さぶられつい何本か取ってしまった。

元・唐揚げ屋のくせに(笑)、ちょうど良い上がりのタイミングが読めない。適当に引き上げてみたら、どうも揚げ時間が長すぎたようだ。その次には早めに引き上げることにしたら、今度は生揚げだった。
スマホを使ってタイマー管理でもした方が良いかと、ふと昔の職業意識が芽生えるが、所詮飲み屋のつまみだし、そこまで気張るのもなんだかなあ。あっさり諦め適当に揚げることにしたのだが、なんとみるみる揚げ方が上手になっていくではないか。揚げている途中のジュワジュワいう音で揚がり具合がわかるようになってきた?らしい。

ソースは典型的な中濃ソースと梅味のものを選んだが、当然のようにチーズ味のソースもあった。今や平成世代にはチーズ味は鉄板なのだ。串揚げに飽きるとカレーライスも食べられるし、デザート類も並べてある。お口直しにアイスクリームも食べられる。
ただ、これを満喫するには、おそらく二十代の体力と揚げ物大量摂取に耐えうる油耐性が必須条件だ。おまけに、飲み放題をつけても「油負け」するので酒も飲めなくなる。年齢的には全く不適な選択肢だった。
やはり歌舞伎町は厳しい先生なのだ。幾つになっても教育的指導を与えてくれる。くそ、だから歌舞伎町で飲むのは嫌なんだ。これも、幾つになっても学ばない自分が悪いのだけれど。