街を歩く

水族館のあるビル

繁華街にできる新しい商業ビルに水族館ができると聞いて、実はとても楽しみにしていた。博物館も好きだが、動物園や水族館も好きだ。特に水族館は哺乳類に生まれて来たことに喜びを感じる、そして異種族との差異を強く感じる場所だ。魚屋に並ぶ魚とはまた違う視点で「お魚」さんを眺めることになる貴重な場所だ。
相当に期待して入った新・水族館だったが、どうも自分のテイストというか好みとはちょっと違っていた。大人の水族館、エンタメを廃した水族館らしい。現代的な設計思想についていけない。やはり、トドに餌をやるような水族館が自分には似合いらしい。

その新・水族館は商業ビルの4−6階にある。地下2階から3階までは商業施設だ。地下はフードホールとドラッグストアで、最近の商業ビルとしては定石的構成だった。2−3階も個性的な雑貨店が入り、いわゆる都市型高感度ストアが装置されている。

問題は一階で見つけてしまった。このビルは狸小路と駅前通りの交差する場所にある。北の街では1・2を争うベスト立地だ。個人的な感覚で言えば、高級ファッションブランドが路面店を出すのであればこんな場所だろう。最盛期のアップルもこんな場所に自社ストアを開けていたはずだ。
そんな場所がガランと空いたままになっている。ビルのオープンから3ヶ月も経ち、まだテナントが埋まっていないとはびっくりだった。

どうやら北の大都会でも、まだまだ商売は厳しいのかと感じさせられる光景だった。向かいにある安売りの殿堂は、とても賑わっていたから客は戻ってきていると思うのだけれど。
出店するための従業員採用が難しいというのが、どうもテナントが埋まらない原因ではないか。人手不足の解決策は、長期的には子供をふやす、短期的にはロボットを増やすしかない。ここまで円安が進むと外国人労働者は日本で出稼ぎするメリットがないから、この先は外国人労働者も量的期待はできないように思う。対策は限られているはずなのに、サービス業では動きが遅い。バブル後の平成不況で人減らしをした企業ほど回復できないようだ。因果応報。

これまでとは違う意味で街の風景が変わっていく、その先駆けみたいな光景なのだなと思いましたよ。

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