
熱海の駅の降りたのは十年ぶりくらいだろうか。ただ、熱海に遊びに来たことはない。いつも会社の用事で来ていた。温泉街のそぞろ歩きみたいな体験は一度もない。たまたま、時間がちょっとあったので、熱海駅前を観光客のふりをして歩き回ってみた。
予想していた外国人観光客は思いのほか少ない。温泉が目当てであれば、山の中にある秘境温泉みたいなところの方が、外国人ウケしそうな気もする。熱海の駅前商店街で目立ったのは、高齢者カップル(いかにもという感じがする)と若い女性の二人組だった。
平日の午後だというのに、やたら人がいるのは流石に日本屈指の温泉地だ。が、熱海には海岸で銅像を見る以外に何か見ものがあっただろうか。それが気になる。

これまで何度か熱海に来ていながら、全く気づいていなかった駅前の展示品、軽便鉄道の機関車を見つけた。あまりの小ささに実物だとは思わなかった。鉄オタ的な芸術家が作った立体アートだろうと誤解してしまった。
こんな小さな機関車で、客車や貨物車を引いていたのかと感心した。D51あたりの大型機関車と比べると大人と子供の違いがある。今でば、蒸気機関車というとどこかの公園などに放置されているのがほとんどだろう。動態保存されている車両は、一部の私鉄で運行されている蒸気機関車がほとんどだ。あとは、鉄道博物館に残るくらいだろうか。
ただ、蒸気機関車の走る姿はまさに勇姿だ。煙と蒸気をたなびかせ爆走する。電気で走る列車とは異なる、単純な「力」を感じる。できればこの小さい機関車も復活させてくれないものだろうか。

テレビの鉄オタ番組(?)を見ていると、まだ全国各地に保存されている動かない機関車は多い。ゼロから再生するのは難しいだろうが、部品の再製造、ワンオフでの製作くらいはできるだろう。
こんなことにこそクラウドファンディングが活用されないものだろうか。九州のとある町では、「震電」の復元もクラウドファンディングで行われた。全国の地域おこしグループの方々には、ぜひ再考をお願いしたい。蒸気機関車で町おこしだ。
人気の出ない名産品(特に食べ物系)を開発する前に、人の心を惹きつける動くオブジェクトを作り出すことは重要だと思うのですよね。