
毎年8月に催される小規模のコンサートに通っている。家人が参加するこぢんまりとした弦楽グループの定例コンサートで、最初の頃はレストランを貸し切った程度のかわいらしいものだった。演奏者にも小学生が混じっていた。
それが今では、オーケストラの弦楽パートくらいの人数で演奏される規模になった。演題も最初の頃は、クラシック初心者向けのファミリーコンサートだったので、誰もが知っている定番の小品が中心だった。だが、今ではバッハなどの重厚な弦楽曲が中心なり、じつにクラシック「らしい」ものに変身している。
コロナの間は活動休止中だったが、それがパワーアップして再開された。今回は、地元でもそれなりなコンサートホールで行われたし、プロのソリストが参加する堂々たる演奏会だった。
地元のホールは、音楽の女神の名が冠されているだけあり、見る箇所にもよるが、どこぞの国の神殿風なデザインがほどこされている。演劇やオーケストラの演奏会が行われる大ホールと、クラシックや演芸の舞台となる中ホールがある。
個人的には、かなり見やすいホールだと思っているし、専門家に言わせると音の響きもなかなかのものらしい。

自宅から電車で一駅、歩く気になれば歩いて行ける距離に、このような文化施設があるのはなかなか幸せなことだ。ただ、近いが故についつい行きそびれることも多い。アフターコロナで再開されたエンタメイベントを再確認してみると、おやまあ………という低価格で開催されているものが多かった。今年の後半は、少し文化的に活動しようかと、交響楽団の演目を確認したり、寄席の演者を品定めしている。
ちなみに、このホール施設にはレストランも併設されているので、演目終了後にささやかな余韻を楽しむこともできるので、それなりに都会の気配もあるのだ。渋谷道玄坂や初台、半蔵門にある著名なホールで楽しむのと同じレベルで、日本文化の精華を味わうことができる。良い時代になったと感謝するべきだろうなあ。
おまけに、このホールの「友の会」に入ると、チケットが一回500円割引になる。年会費は、4回行けば元が取れるくらいだし、会員は優先的にスマホで先行予約ができるらしい。なんだか文化活動を楽しみながら、現代の商業主義的な側面も学べる、ありがたい施設なのだ。その上、隣は警察署なので、防犯は万全。