街を歩く

町中華で出会った好物と警察沙汰

半チャーハンとネギチャーシュー 普通に美味しい、好物なのだが

久しぶりに炒飯を食べようと、町中華のチェーン店に行った。昼のピークを外して行ったのだが、そのために面白い経験ができた。
店内に入ってカウンター席につくなり、男二人が大声を出して言い争いを始めた。面白がってカウンターの壁越しにのぞいてみたら、二人の高齢者が騒いでいる。一人はザビエルハゲというか頭頂部が輝いている。もう一人は短髪で全白毛だった。言い争いをしているから、周りの客がどんどんと逃げていく。離れた席に移るくらいであれば良いが、店から帰るものも出始めていた。自分の隣にいた客は、食べ物を完食しないまま帰って行った。明らかに営業妨害だろう。
言い争いを聞いていると問題は二点あるらしい。発端はザビエルハゲくんが携帯ゲームをしていて、いきなり白毛くんの方に体を寄せてきたらしい。おそらくゾンビ退治のゲームでもやっていて、いきなり出てきたゾンビに体がのけぞったという感じだろう。
それを迷惑に思った白毛くんが、一言謝ることも出来ないのかとザビエルハゲくんに文句を言ったら、ザビエルハゲくんが激昂して大声で罵った。この大声は自分も聞いていたが、罵詈雑言と言っていいほどの醜い喋りだった。
ザビエルハゲくんは、自分がジジイなのにゲームをするなと言われたと勘違いしたらしい。白毛くんは、ジジイなのにヒトに迷惑をかけても謝らないとはどういうことだ、とザビエルくんを諌めていたのだが。勘違い、すれ違いで騒動は大きくなるという典型だろう。これが一点目だ。
ここで白毛くんがブチギレて、まずは従業員に噛み付く。自分に迷惑をかける「怪しいやつ」を排除するのは店の責任だ、みたいなことを言っている。結局、ホールにいた従業員の何人かがクレームを受けることになる。これが二点目の問題で、お店からすると流れ弾というしかない。因縁をつける悪質クレーマーと判定したくなるだろう。
続いてザビエルハゲくんに矛先が向かう。謝らないなら警察を呼ぶと言い始めた。これにザビエルくんは何の反応をしないで無視体制。なので、白毛くんはその場で警察に電話をかけ始めた。その会話も漏れ聞こえてくる。白毛くんの主張は、大声で威嚇された、脅されたということのようだ。
暴力による肉体的被害ではなく、精神的な被害という論点で警察を呼んでいるらしい。暴力沙汰にはなっていないから、どうも警察が出動をためらっているらしく、それに苛立っているのが筒抜けで聞こえる。
結局、警察官が4名やってきて、ザビエルくんと白毛くんそれぞれに話を聞き始めた。別の場所でお店の従業員の話も聞いている。会話のあれこれが聞こえてくる。警察官は話を聞いて宥める方向で進めたいようだが、白毛くんが納得しない。

ザビエルくんは大声で怒鳴り散らしたのは嘘のように、丁寧な言葉遣いで警官に必死の言い訳をしている。が、聞いているとだいぶ話を盛っている。白毛くんは、高齢者としてあの横暴な言動、立ち振る舞いは社会に対して悪である。それを正さなければいけないと思い通報した、というよう方向へ話がすり替わっている。(感じがした)
警察が来た時点で、この客席周りには誰もいなくなるのだから、店としては明らかに迷惑な事件だろう。
自分はカウンターの壁の裏側という安全地帯にいるので、のんびりと注文した料理を食べつつ、周りで展開される会話に聞き耳を立てていた。なるほど、こういう具合に同じ状況が語る者によって全く異なる筋立てになるのだから、裁判は必要なのだろうなあと実感した。どちらが正しいか判定するのは、相当に状況証拠が揃わないと難しい。おまけに、今回はことの発端と、当事者の説明、言い訳が異なっている。警官も、こういう町の口喧嘩には慣れているのか、まともに取り扱うようには見えない。

平たく言えば、ジジイ二人が我を張り合い言った言わないの口喧嘩をして、周りに迷惑撒き散らしたというに尽きる。おそらく日本中でこんな光景が毎日のように見られるのだろう。歳を重ねて賢くなるどころか、小学生にも劣る馬鹿馬鹿しい罵り合いをするのが現代のジジイだと改めて思った。
酔っ払いではない「ランチ定食」を食べているジジイ二人の騒動を見ていて、何やらこの先の世界に絶望しかないような気がしてきた。こんなダメ高齢者の面倒を見てやるほど、高い代金はいただいていない町中華で、時間給いくらで働いている従業員さんには深く同情してしまう。

今回の学びは単純だった。
人は歳をとると劣化する、というのが現代日本では正しい認識なのだ。

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